8月31日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比168ドル33セント(0.5%)安の3万4721ドル91セントで終えた。
米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ観測の後退が続く中、市場は翌日発表の米雇用統計で今後の金融政策の方向性を見極めようとしている。この日は長期金利の低下を受けて大型ハイテク株を中心に買いが入ったが、大半の銘柄は売りが先行して小幅安となった。
米商務省がこの日発表した7月の個人消費支出(PCE)物価指数はおおむね市場予想に沿った内容だった。
また、米労働省が集計した週間新規失業保険申請は市場予想より少なく、いずれも追加利上げへの警戒感につながらなかった。
顧客情報管理のセールスフォースは一時6%上昇した。30日夕に発表した2023年5~7月期決算は主要項目が市場予想を上回り、同時に示した24年1月期通期の見通しを上方修正し、好感した買いが集まった。投資家心理の改善につながり、ダウ平均の上げ幅は180ドルに迫る場面があった。
ただ、ダウ平均は買い一巡後に下げに転じた。ダウ平均は前日までの4営業日で800ドル近く上昇していた。雇用統計の発表を前にディフェンシブ株や景気循環株を中心に利益確定や持ち高調整の売りが出た。
個別では、医療保険のユナイテッドヘルス・グループや航空機のボーイング、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスが下落した。金融のJPモルガン・チェースと飲料のコカ・コーラも安かった。半面、工業製品・事務用品のスリーエムと半導体のインテルは上昇した。スマートフォンのアップルは5日続伸した。
ナスダック総合株価指数は5日続伸した。前日比15.658ポイント(0.1%)高の1万4034.969と約1カ月ぶりの高値で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや電気自動車のテスラが上昇した。
【シカゴ日本株先物概況】
8月31日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比110円高の3万2500円で終えた。
翌日に米雇用統計の発表を控え様子見姿勢が広がる中を5営業日ぶりに反落した。NYダウ工業株30種平均が下落したが、日経平均株価は約1カ月ぶりの高値水準で終えており、シカゴ市場でも日経平均先物には買いが優勢だった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32500 ( -110 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32500 ( -110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7439.13(-34.54)
31日のFTSE100種総合株価指数は7営業日ぶりに反落した。前日に比べ34.54ポイント(0.46%)安の7439.13で取引を終えた。前日までの6営業日の間に3%近く上昇しており、目先の利益を確定する目的の売りが出た。医薬品や日用品などディフェンシブ銘柄のほか、金融セクターが下落した。
FTSEの構成銘柄では、オンライン食品販売大手オカド・グループが9.86%高と急伸。航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスは2.54%高、賭け屋大手フラッター・エンターテインメントも1.41%高と買われた。
一方、資源大手グレンコアは3.92%安、保険大手プルデンシャルは3.36%安、産金大手エンデバー・マイニングは2.48%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15947.08(+55.15)
31日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ55.15ポイント(0.35%)高の1万5947.08で取引を終えた。31日発表の8月のユーロ圏物価統計や7月の欧州中央銀行(ECB)理事会の議事要旨がECBの利上げ継続観測を強める内容ではなく、ドイツ長期金利が低下した。金利低下を好感し、不動産やハイテクの一角など金利動向に敏感な銘柄が買われた。資本財や化学など景気敏感セクターも上昇した。
個別では、不動産大手ボノビアが5.14%高、医療機器のザルトリウスが4.20%高、通販大手ザランドが3.61%高。半面、コメルツ銀行は1.74%安、ドイツ銀行は1.35%安、素材化学大手コベストロは0.45%安と下げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7316.70(-47.70)
フランスCAC40種指数は0.65%安だった。
イングランド銀行(中央銀行)高官のタカ派的な発言も株価の重しとなった。
