9日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比157ドル85セント(0.41%)安の3万7525ドル16セントで終えた。
前日にダウ平均が再び最高値圏に上昇し、主力銘柄の一部に利益確定の売りが出た。昨秋以降の米長期金利の低下には一服感があり、株式の相対的な割高感が意識されやすい面もあった。
ダウ平均は前日までの3営業日で250ドルあまり上昇し、2日に付けた過去最高値(3万7715ドル04セント)に接近していた。
米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利下げ観測が後退する中、米長期金利が上昇。ハイテク株などの売りが先行し、ダウの下げ幅は一時300ドルを超えた。ただ、物価高を抑えつつ景気後退を回避する「軟着陸」期待に支えられ、下げ幅は縮小した。
米債券市場で長期金利は前日終値(4.03%)近辺で推移した。2023年12月下旬には3.7%台後半とおよそ5カ月ぶりの低水準を付けた後、水準を切り上げている。足元では米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退し、今後発表になる物価指標を見極めたいという雰囲気がある。
市場では「長期金利が再び4%台を付けたことで投資家心理が強気になりにくい」との声が聞かれた。
個別銘柄では石油のシェブロン、化学のダウなどの景気敏感株が下げた。映画・娯楽のウォルト・ディズニー、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスも売られた。航空機のボーイングは連日で下落した。半面、製薬のメルクと日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が上昇した。
ナスダック総合株価指数は3日続伸した。前日比13.942ポイント(0.09%)高の1万4857.710で終えた。半導体のエヌビディアが連日で最高値を更新し、2%弱上昇した。半面、アナリストが投資判断を引き下げた動画配信のネットフリックスが下げた。
【債券】
9日のニューヨーク債券市場で長期債相場は続伸した。長期金利の指標となる表面利率4.500%の10年物国債利回りは前日比0.02%低い(価格は高い)4.01%で終えた。米財務省が9日に実施した3年債入札が好調な結果と受け止められ、債券需給の緩みに対する懸念が後退。買いが優勢となった。
【為替】
9日のニューヨーク外国為替市場で円相場は反落し、1ドル=144円台半ばで取引されている。米長期金利の低下が一服し、日米金利差の拡大を受けて円を売ってドルを買う動きが優勢となっている。
【シカゴ日本株先物概況】
9日のシカゴ日経平均先物は小幅に下落した。3月物は前日比5円安の3万3885円で終えた。足元で大きく上昇していたため、利益確定や持ち高調整を目的とした売りが重荷だった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
33885 ( +125 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
33920 ( +160 )
( )は大阪取引所終値比
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7683.96(-10.23)
9日のFTSE100種総合株価指数は反落し、前日比10.23ポイント(0.13%)安の7683.96で終えた。資源株や銀行株が下落し、指数を下押しした。英小売協会(BRC)が9日公表した2023年12月の英小売売上高で伸びが鈍化し、個人消費の弱さが意識された。一般消費財や小売り関連の銘柄にも売りが出た。
原油先物相場の伸び悩みにつれ、エネルギー株が前日比で下げに転じたのも重荷だった。他方、米バイオ医薬品企業を最大10億ドル超で買収すると発表した英グラクソ・スミソクライン(GSK)など医薬品株には買いが入った。
FTSEの構成銘柄では、保険大手ビーズリーが4.35%安、小売り大手JDスポーツ・ファッションが4.19%安、オンライン食品販売大手オカド・グループが3.59%安と下げた。
一方、水道大手セバーントレントは1.99%高、製薬大手GSKは1.76%高、同業ヒクマ・ファーマシューティカルズは1.75%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16688.36(-28.11)
9日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比28.11ポイント(0.16%)安の1万6688.36で終えた。9日発表の2023年11月のドイツの鉱工業生産が市場予想より弱い内容だったことなどが重荷となった。前日まで買いが続いていたコメルツ銀行など銀行株が下げた。一部金融機関が投資判断を引き下げたと伝わった化学大手のBASFなど素材株の一角にも売りが出た。
個別では、化学大手BASFが2.66%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが1.76%安、ミュンヘン再保険が1.62%安だった。半面、医療機器のザルトリウスは2.66%高、エネルギー大手イーオンは1.91%高、電力大手RWEは1.70%高で終了した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7426.62(-23.62)
フランスCAC40種指数は0.32%安だった。
欧州全域で国債利回りが上昇したことが嫌気され、鉱業株や銀行株を中心に売りが出た。
