反落129円安、利益確定売り

10日午前の日経平均株価は反落し、前引けは前日比129円49銭(0.44%)安の2万9113円33銭だった。日経平均は前日に1年4カ月ぶりの高値を付けており、発表された決算内容や前日の米株安を受けて利益確定目的などの売りが出た。
 
買い手控えムードが漂うなか日経平均は下値を探る展開となった。ここ約1カ月にわたり上値指向の強い展開をみせていたが、日本時間今晩に予定される4月の米CPI発表を前に目先ポジション調整の売りが優勢となっている。半導体関連株などが軟調で全体相場に下げ圧力が働いている。値下がり銘柄数はプライム上場銘柄の7割強を占めている。ただ、下値では押し目買いニーズが旺盛で、前場の日経平均は2万9000円台をキープしたままの状態で推移した。
 
主要企業の決算発表が本格化するなか、個別株の売買が中心。業績や収益見通しが市場予想に届かず、売られる銘柄が目立った。2024年3月期の利益見通しが市場予想を下回ったダイキンが下げた。
 
市場では「米国では米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化や米政府の債務上限問題など懸念がくすぶるが、日本独自の不安材料は見当たらず、日本株の地合いは引き続き強い」との声があった。
 
ここから先は短期的にもやや注意を要する局面に入ってくると考える。前日に東証が発表した投資部門別売買動向によると、海外投資家は4月に日本株を現物で2兆1000億円強買い越した。月間で5年半ぶりの大きさであり、3月の2兆2500億円程の売り越しをほぼ解消した。米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻以降にさらに高まっていた景気後退懸念の中でも先物でなく現物でこれだけの買い越し幅が見られたのは、恐らく上述したような日本株を巡る独自要因が寄与しているところが大きいのだろう。ただ、裏を返せば3月の売り越し幅を解消したことで買い戻し余地はなくなったともいえる。
 
また、今回の決算シーズンで国内企業から株主還元の強化などが相次いだことが足元の日本株の相対的な強さにつながっていると思われるが、今週でその決算発表も一巡する。このため、来週以降はこれまでの株高地合いに寄与してきた要因が一旦とはいえ、一つ剥落することになるだろう。

 


東証株価指数(TOPIX)は反落した。午前終値は前日比10.70ポイント(0.51%)安の2086.85だった。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆5174億円、売買高は6億3328万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1314。値上がりは450銘柄、変わらずは69銘柄だった。
 
業種別株価指数(33業種)はゴム製品、医薬品、電気機器、食料品などが下落した。上昇は鉄鋼、卸売業など。
 
 
個別では、レーザーテックや東京エレクトロンなど半導体製造装置関連が安く、川崎汽船も利食われた。ダイキン工業、キーエンスなども軟調。レノバが急落、NTNも大幅安。三菱自動車工業、エーザイの下げも目立つ。
 
半面、三菱商事が商いを伴い大きく上昇したほか、日本製鉄、JFEホールディングスなど鉄鋼大手も高い。ニトリホールディングスも物色人気となった。山田コンサルティンググループはストップ高で値上がり率トップ、丸井グループも大幅高、横河電は年初来高値を更新した。

 

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