5日午前の日経平均株価は反落し、前週末比172円25銭安の2万8611円03銭だった。
きょう前場は大きく売り優勢に傾いた。前週末の米国株市場でNYダウなど主要株3指数が揃って最高値を更新したが、このリスク選好の動きは波及しなかった。
新型コロナウイルス感染拡大に対する懸念に加え、今週後半に予定されるETFの分配金捻出に伴う売りニーズを警戒する形で買い手控えムードが強まった。
日経平均寄与度の高い一部の値がさ株の下げも影響した。外国為替市場で円安・ドル高の流れが一服したのも自動車など輸出関連銘柄の一部の売りにつながった。下げ幅は一時200円を上回ったが、2万8000円台半ばでは押し目買いも観測され、その後はやや下げ渋っている。
前週末の米市場では6月の雇用統計を受けて米長期金利が低下。主要な株価指数はそろって上がったが、日本株への波及は限られた。「足元のコロナ感染者増に加え、ワクチン接種が一部の自治体で滞り、経済活動の正常化が遅れるとの見方が上値を抑えている」との指摘があった。
米金利の低下で運用収益が悪化するとの観測から、三菱UFJや三井住友FGなどの銀行株が売られた。4日投開票の東京都議選で国政与党の自民・公明が過半数に届かなかったことが政局リスクを意識させ、日本株の買い控えにつながっているとの見方があった。
指数への寄与度が高い銘柄が売られ日経平均を押し下げた。ソフトバンクグループ(SBG)とファストリの2銘柄で、134円ほどの下押しにつながった。
東証株価指数(TOPIX)は反落し、午前終値が前週末比0.40%安だった。JPX日経インデックス400も反落した。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で8719億円、売買高は3億9696万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1182と、全体の5割超を占めた。値上がりは870、変わらずは134だった。
業種別株価指数(33業種)は鉄鋼、鉱業、情報・通信業などが下落。上昇は海運業、空運業、不動産業など。
個別では、断トツの売買代金をこなしたソフトバンクグループが大きく水準を切り下げたほか、ファーストリテイリングの下げも目立つ。JFEや昭電工、ニコン、INPEXが下落した。ソニーグループも値を下げた。エスプールが急落、フィデアホールディングスも大幅安となった。
半面、レーザーテックが買い優勢となったほか、任天堂もしっかり。村田製作所が上昇、富士通、川崎汽やスクリン、ANAHD、も値を上げた。ミタチ産業が急伸、TSIホールディングスも値を飛ばした。
東証2部株価指数は前週末比12.54ポイント高の7701.69ポイントと続伸した。
出来高は9851万株。値上がり銘柄数は175、値下がり銘柄数は210となった。
個別では、ICDAホールディングス、神島化学工業、川上塗料、MCJ、東京コスモス電機など9銘柄が年初来高値を更新。川口化学工業、ウイルテック、ヨネックス、岡本工作機械製作所、バイク王&カンパニーが買われた。
一方、日本製罐、那須電機鉄工、宮入バルブ製作所、リヒトラブが年初来安値を更新。大黒屋ホールディングス、セキド、ラオックス、グローバルダイニング、コメ兵ホールディングスが売られた。
