22日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比179ドル(0.4%)高の4万4502ドルで引けた。
トランプ米政権が8月1日に定める貿易交渉の期限が迫るなか、協議進展への期待感から株を買う動きが優勢となった。
米グーグル親会社のアルファベットや米電気自動車(EV)大手テスラの決算を前に市場の様子見ムードが強く、出遅れ感のあった製薬や生活必需品関連が買われる一方、最近上昇が続いていたハイテクや金融などの銘柄が売られた。米長期金利の低下が相場を下支えした。
ソフトバンクグループなどの人工知能(AI)インフラ投資計画「スターゲート」が苦戦しているとの米報道を背景に、半導体関連の下落が目立った。ナスダックは前日まで6営業日続伸して最高値を更新し続けており、ハイテク株に利益確定の売りが出やすかった。
ダウ平均の構成銘柄ではアムジェンやメルク、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)といったヘルスケア銘柄が上昇し、全体の伸びをけん引した。ダウ平均の構成銘柄以外では通期予想を上方修正した防衛大手のノースロップ・グラマンは9%上げた。S&P500種株価指数は前日比0.1%高となり、連日で最高値を更新した。
トランプ米政権と各国の貿易交渉も材料視されている。
トランプ米大統領は22日、フィリピンのマルコス大統領と面会した後に、SNSで両国は貿易交渉で合意したと投稿した。米国がフィリピンにかける税率を19%にする一方で、フィリピン側は関税を撤廃すると発表した。
中国との貿易交渉が前進していることも好感された。ベッセント米財務長官は28〜29日にスウェーデンで中国と閣僚協議を開くと22日に米FOXビジネスで語った。トランプ氏も「近々、習近平国家主席に会いに中国を訪問する可能性がある」と記者団に話した。
S&P500は連日で小幅ながら最高値更新を続けているが「相場上昇の勢いは減速している可能性がある」という声も聞かれた。一段の上値追いには、貿易協議のさらなる進展に加えて主要銘柄の業績拡大が必要となる。23日にはアルファベット、30日にマイクロソフトやメタといった大手テクノロジー銘柄の決算発表がある。
【シカゴ日本株先物概況】
22日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比180円安の3万9610円で終えた。この日は日経平均株価が下落したうえに、米市場ではナスダック総合株価指数が小幅ながら下落したため、シカゴ市場の日経平均先物には売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39610 ( -140 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39655 ( -95 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
22日の英FTSE100種総合株価指数は小幅ながら4日続伸した。終値は前日比10.82ポイント(0.12%)高の9023.81と連日で最高値を更新した。2025年9月期の営業利益見通しを引き上げた食品サービスのコンパス・グループが上昇し、指数をけん引した。
金や銀、非鉄金属の先物などの相場上昇を支えに資源株に買いが優勢だった。電気・ガスの英セントリカなど公益が上げた。半面、防衛・航空関連や銀行、空運には売りが優勢で、指数の上値を抑えた。
FTSEの構成銘柄では、給食サービス大手コンパス・グループが5.39%高、エネルギー小売り大手セントリカが4.76%高、資源大手グレンコアが3.13%高と相場をけん引。他方、格安航空大手イージージェットは2.84%安、資産運用会社インスティテューショナル・クライアント・グループ(ICG)は2.67%安、投資会社メルローズ・インダストリーズは2.50%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
22日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比265.90ポイント(1.09%)安の2万4041.90で終えた。米欧の貿易交渉に対する警戒感が根強く、投資家心理の重荷となった。
22日公表した2025年1〜6月期決算で売上高が市場予想を下回った医療機器のザルトリウスの下げが目立つなど、個別の材料を受けた売りも出た。
個別では、ヘルスケア大手フレゼニウスが2.36%高、電力大手RWEと商用車大手ダイムラー・トラックが共に1.48%高と上昇。半面、医療機器のザルトリウスが5.36%安と急落し、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが3.51%安、防衛大手ラインメタルも3.36%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は続落し、前日比0.69%安で終えた。
