5日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前日比25円26銭の3万7356円44銭だった。
きょう前場は、日経平均が前日終値を挟んで不安定に上下動を繰り返した。前日の欧州株市場がほぼ全面安商状となり、米国でもNYダウが670ドル安と大きく値を下げたが、不透明な相場環境のなかも空売り筋のショートカバーが入り朝方日経平均はプラス圏で推移した。その後は買いが続かずマイナス圏に沈んだものの底堅く、再びプラス圏に。ただ、上値を買い進む動きには発展せず、結局小幅上昇で前場の取引を終えている。午前中に行われるトランプ米大統領の演説内容を確認したいとのニーズが様子見ムードにつながった。
米政権はカナダとメキシコに対する関税について「関税の軽減に向けた道筋を5日にも発表する可能性がある」と米ブルームバーグ通信などが日本時間5日朝に伝えた。ダウ工業株30種平均の先物で流動性の高い「Eミニ・ダウ先物」の3月物の上昇につれ、日経平均も株価指数先物の買いが主導するかたちで一時200円超上昇した。
外国為替市場ではリスクオフの動きが一服し、円相場は一時1ドル=150円台と、4日の海外市場で付けた高値からは下落した。トヨタやアドテストなど輸出関連株への買いにつながった。
日本時間11時過ぎからトランプ米大統領の施政方針演説が始まった。前引け時点までには関税を巡る具体的な発言は出ておらず、日経平均も小動きを続けた。
日銀の内田真一副総裁は5日、静岡市での金融経済懇談会で「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げる方針だ」と述べた。さらに植田和男日銀総裁は都内で開催された国際通貨基金(IMF)のイベントで挨拶し「世界経済の分断は各国間の経済活動の連携を損ない、金融政策の方向性の違いを拡大させかねない」と語った。そのうえで「国境を越えた資本フローの不確実さを増大させ、為替レートの動きを不安定にする可能性がある」との懸念を示した。ただ、市場の関心がトランプ米大統領の演説や関税政策に向いているなかで、株式市場では目立った反応はなかった。
5日は中国で全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕。2025年の成長率目標について「5%前後」と米ブルームバーグ通信が伝えた。昨年並みの水準を目指す構えだが、米関税の影響に対する懸念も強いなかで、実現性には慎重な見方もある。ファナックや安川電など中国関連銘柄は下落した。
午前中、植田和男日本銀行総裁と内田真一日銀副総裁の講演があったが、さほど目立った発言は無かったことから為替市場への影響は限定的となった。午後は、内田副総裁の記者会見が控えていることから、引き続き為替動向には警戒となろう。後場の日経平均は為替を睨んだ展開に。
東証株価指数(TOPIX)は小幅続落した。前引けは0.32ポイント(0.01%)安の2709.86だった。JPXプライム150指数も小幅続落で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3060億円、売買高は8億8640万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は956、値下がりは605、横ばいは76だった。
業種別では、非鉄金属、輸送用機器、繊維、金属製品、海運などが上昇した一方、保険、サービス、空運、精密機器、銀行などが下落した。
個別では、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が上昇したことで、ソシオネクスト、レーザーテック、スクリーンHD、アドバンテストなど半導体株の一角が強い売買代金上位の川崎重工業やIHIが堅調なほか、フジクラ、古河電工など電線株も上昇。ファーストリテイリングも買いが優勢だった。DMG森精機が急騰、高圧ガス工業、内田洋行も値を飛ばした。このほか、三菱電機、横河電機、資生堂、トヨタ自、マツダなどが上昇した。
半面、ディスコが売られ、三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも冴えない。リクルートホールディングスも売りに押された。アドバンスクリエイトが急落、ダイドーグループホールディングス、カプコンなども大幅安。一部証券会社のネガティブなレポートが影響してコナミGが下落。また、7&iHDが下げ止まらないほか、ニトリHDも弱く昨年来安値を更新した。あおぞら銀行、みずほ、第一生命HD、東京海上など金融株がさえない。
