7月31日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比108ドル36セント高の2万5415ドル19セントで終えた。
この日のダウは買い優勢で始まった。前日の下げをけん引したハイテク株に買い戻しが入ったほか、米国と中国が貿易摩擦の緩和に向けた協議の再開を模索しているとの報道を受け、2大経済大国による「貿易戦争」をめぐる懸念が後退。中国での事業展開に積極的なボーイングやキャタピラー、スリーエム(3M)といった銘柄に買いが集まり、相場を押し上げた。
また、朝方発表した4~6月期決算が好感された構成銘柄のファイザーとプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)にも買いが入った。
好調な四半期決算と併せて、1株利益見通しの引き上げを発表した製薬のファイザーも3%あまり上げた。
市場関係者からは「今日は買い戻しが中心で、自律反発に過ぎないだろう。米国は追加の対中制裁関税を明日にも発動する可能性があり、貿易摩擦への懸念が完全に払拭されたわけではない」との声が聞かれた。
一方、注目イベントだった日銀の金融政策決定会合は、日銀が緩和の枠組みを強化することを決め、主要国の長期金利が低下した。安定した配当が見込め、金利低下局面で投資妙味が増すとされる「不動産」や「公益事業」が上げた。一方、利ざや縮小で収益改善期待が低下した金融株には売りが出た。
また、原油先物価格の下落を嫌気したエネルギー株の下落で、ダウの上値は重かった。
ダウ平均は7月月間では1143ドル(4.7%)上げた。上げ幅と上昇率はともに1月以来の大きさだった。
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反発し、同41.784ポイント高の7671.789で終えた。アナリストが投資判断を引き上げたツイッターが上げ、このところ下げが目立っていたフェイスブックも買われた。
セクター別では、資本財や不動産が上昇する一方で銀行や電気通信サービスが下落した。
個別では、製薬のファイザー(PFE)とケーブルテレビのチャーター・コミュニケーションズ(CHTR)は、決算内容が好感され上昇。半導体のクアルコム(QCOM)は、最大100億ドル規模の自社株買い計画を発表し堅調推移した。短文投稿サイトのツイッター(TWTR)は、一部アナリストによる投資判断引き上げを受け買われた。
一方で、オハイオ州の店舗で複数の利用客が体調不良となり、食中毒の疑いからファストフードのチポトレ・メキシカン・グリル(CMG)が下落した。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,415.19+108.36
S&P500種
2,816.29+13.69
ナスダック
7,671.789+41.784
米10年債利回り(%)
2.9617 -0.013
米2年債利回り(%)
2.6735 +0.005
NY金(ドル/トロイオンス)
1,233.60+2.10
NY原油(ドル/バレル)
68.43-0.33
円・ドル
111.87 – 111.88+0.48
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反発した。9月物は前日比160円高の2万2625円で引け、同日の大取終値を125円上回った。「米中が貿易交渉の再開を検討」と伝わり、投資家心理が上向いて米株とともに買われた。
日銀が31日まで開いた金融政策決定会合で金融緩和策の維持を決め、円安が進んだことも支援材料になった。
この日の9月物高値は2万2690円、安値は2万2335円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22625 ( +125 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22640 ( +140 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7748.76(+47.91)
FTSE100種総合株価指数は反発した。前日30日の終値に比べ47.91ポイント高の7748.76で引けた。
指数構成銘柄全体の約6割が上昇。朝方はもみ合いで始まり、その後上げ幅を広げた。米中両国が貿易摩擦の緩和に向けて交渉を再開しようとしていると米ブルームバーグ通信が報じたことで、リスク選好機運が高まった
石油株と鉱業株の値上がりが株価指数の上昇に貢献した。上げ幅は徐々に拡大した後、引け前にやや伸び悩んだ。決算シーズンが続くなか、石油のBPなど好決算の銘柄に買いが集まった。
個別銘柄では、英石油大手BPは、原油価格の上昇と生産増が後押しとなり第2四半期の利益が前年同期比で約4倍となったことが好感され1.4%高と買われた。
鉱業株も上昇した。フレスニージョは4.2%高と上がった。銀生産の増加を追い風に上期の売上高が拡大した。上期の銅生産の増加を発表した資源商社のグレンコアは2.9%高と買われた。
上期の税引き前利益が増加した住宅建設のテイラー・ウィンピーの上げも目立った。前日に大幅高となったギャンブル事業のGVCホールディングスはこの日も上昇した。
半面、オンライン食品デリバリー大手のジャスト・イートは6%超下落した。通期の売上高見通しを引き上げたものの、投資拡大の計画が嫌気された。
英ホームセンター大手キングフィッシャーも4.0%安と売られた。
ガス供給・販売のセントリカの下げも大きくなった。上期の営業利益が減少したことが響いた。害虫駆除のレントキル・イニシャルは上期の減収と減益を発表したことを受けて売られた。上期決算を発表したスタンダードチャータード銀行も下がった。
ドイツ・フランクフルト株価指数
■DAX 12805.50(+7.30)
ドイツ株式指数(DAX)は小反発した。終値は前日30日と比べて7.30ポイント高の12805.50だった。
個別では、航空のルフトハンザは8%超上昇した。第2四半期の営業利益が市場予想を上回ったことが好感された。アナリストが投資判断を引き上げたことも買いにつながった。ドイツ銀行とコメルツ銀行の上げも目立った。
一方で、医療機器のフレゼニウスと透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアは売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5511.30(+20.08
