「何もなかったかのごとく」
NY株式市場は続伸。
「北朝鮮情勢懸念から一時売られた場面もあったがその後は切り返し。
北朝鮮ミサイル問題をトレーダーは深刻に受け止めなかった」との解釈。
トランプ大統領は「すべての選択肢が検討対象となる」と警告したが聞こえないフリの印象。
むしろハリケーン「ハービー」への対応が好感されたとの指摘もある。
アップルやアルファベット、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾンなどが買われ、ナスダックの上昇をけん引した。
もっとも3市場の売買高は約59億株と依然低調。
10年債利回りは一時2.086%と昨年11月以来の低水準。
こちらは北朝鮮問題を警戒しての安全資産としての米国債志向だった。
債券市場は9月1日発表の8月の雇用統計を睨んだ格好。
「8月の雇用統計はこれまで6年連続で予想を下回った」というアノマリーも存在している。
主要6通貨に対するドル指数は2年半ぶりの安値から持ち直し。
ドル円は109円台後半まで戻してきた。
「驚かない、騒がない、慌てない」を再認識させてくれたNY市場だった。
朝方の北朝鮮ミサイル発射で動揺した東京株式市場だったが冷静な対応が目立った。
ファーストリテイリング、ソフトバンク、京セラなどの下げが日経平均を相対的に押し下げる要因。
しかし後場は下落幅を縮小。
「買い戻しの動きも見られ売り一辺倒ではなかった」との声も聞こえる。
日経ジャスダック平均は6日続伸で27年ぶりの高値を更新。
小型株指数はプラスだった。
日経平均は200日線(19321円)、TOPIXは昨年11月安値(1287ポイント)を起点とするサポートライン付近で下値を確認。
これが重要だったという見方もある。
新高値銘柄が104と3ケタを継続したことも安心感だ。
空売り比率は40.8%と月曜の42.4%から低下した。
買い気配で始まった石川製作所が尻すぼみの推移となったことは「さほど深刻には受け止めていない」という見方に繋がった。
1株あたり時価の1596円を見ると「何もなかった」かの印象だ。
FAANG銘柄の上昇を背景にNY株式は続伸。
225先物大証夜間取引終値は日中比90円高の19470円。
昨日早朝のレベルまで戻してきた。
ドル円の109円70銭を好感した格好だ。
騰落レシオは96.60%まで低下。
松井証券信用評価損益率速報で売り方は▲14.028%(前日▲13.456%)と悪化している。
気になるのは4月19日以来約4ヶ月ぶりに10年国債利回りがゼロに低下したこと。
マイナスに沈むのか、安全資産志向が減少してプラスに戻すのかが株式相場の分水嶺でもある。
ボリンジャーのマイナス1σは19479円でサポートラインとなる気配。
25日線19742円奪還はまだ高望みだろうか。
有事の際の円高への疑問はあちこちにあるようだ。
特にリタイアされた元証券マン、あるいは現役最後のレベルの証券マンに根強いようだ。
「隣国がミサイルを発射してそのミサイルが上空を通過した国の通貨が買われる?」。
常識論では考えられないことが現実にいつも起こる。
本来は、そんな危ない国の通貨は買えないというのが常識だろう。
「有事の際は安全資産の日本国債を買う」。
これは愚かな見方だろう。
有事の行先はその国債の暴落につながるというのが定理だ。
あるいは今朝の日経朝刊で指摘された「有事の際の巻き戻し」。
「危機感の高まりは本来は円を売る要因だが、投資家は円を買わざるを得ない理由がある。
世界の投資家は金利水準が低い円で資金を調達。
外貨に転換して運用する傾向がある。
しかしリスク警戒感が高まると、資産の保全を目的に取引解消に向かう。
結果円買いにつながる」。
一理はある。
「経験則から有事の円買いの連想が働き先回りの円買いも呼び込む」。
しかしこの経験則は金融危機が主な原因。
金融危機での運用縮小とミサイル発射とは要因がずいぶん違うというのは気のせいだろうか。
過去の事例を基にコンピュータの自動売買のアルゴ。
この筋肉質な存在にも「有事の円買い」が記憶として染み込んでいるというのは納得できる。
何も考えずに機械的に「ハイ&ロー」にベットしている連中の考えそうなことだ。
対象が馬や宝くじでなく経済の一部をなす為替であるから何かもっともらしく見えるだけのことだろう。
「元銀行マン達のギャンブル余生の場」とでも考えたほうが良いのかも知れない。
有事の円買いの妥当性はそこにはないような気がする。
経済指標のスケジュールと罫線だけでなくもっと納得性のある説明を聞きたいものだ。
そもそもFXの個人取引を認めた背景となる社会的意義はなんだったのだろう。
まさか「税金を払う、利益で消費する」ではないと思うが・・・。
NYダウは56ドル高の21865ドルと続伸。
NASDAQは18ポイント高の6301ポイントと続伸。
S&P500は2ポイント高の2443ポイント。
ダウ輸送株指数は80ポイント高の9237ポイント。
3市場の売買高は59億株と低調。
CME円建ては大証比90円高の19470円。
ドル建ては大証比95円高の19475ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比90円高の19470円。
ドル円は109.72円。
10年国債利回りは2.136%。
非公式外資系5社動向は売り800万株、買い670万株。
金額ベースは22億円の買い越し(2日ぶり)。
売りは商社・化学セクターなど。
買いはサービス・その他製品・精密セクターなど。
◇━━━ カタリスト ━━━◇
CAP(3965)・・・動兆
キャピタル・アセット・プランニングに注目する。
同社は生命保険の販売支援システムとコンサルが中核。
相続税対策の個人資産管理システムに期待感。
ある意味AI関連でもある。
生保向けシステムの成長は継続。
リバウンド期待。
(兜町カタリスト櫻井)
