「不作為のもたらす反発」
週明けのNY株式は大幅続伸。
NYダウの上昇幅は3月1日以来ほぼ半年ぶりの大きさ。
8月7日に付けた過去最高値まであと60ドルの水準まで回復した。
北朝鮮が建国記念日にミサイル発射などの挑発行為を行わなかったことを好感しての買い物優勢。
「リスクオフの巻き戻しの動き」という解釈だ。
週末に米フロリダ州を直撃したハリケーン・イルマは熱帯低気圧化。
停電被害は大きかったものの被害額は警戒されたほど大きくないとの観測も見られた。
起こるかも知れないネガティブな可能性が起こらなかったということ。
単に買い戻しでも上昇する地合いというのは悪くは無い。
NASDAQ総合株価指数は大幅に反発。
VIX(恐怖)指数は10.73まで低下した。
一時は1日に付けた最高値を上回る場面もあった。
アップルは5日ぶりの反発。
フェイスブック、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コムなど主力株が軒並み上昇。
S&P500株価指数は3営業日ぶりに反発。
8月7日に付けた過去最高値をほぼ1カ月ぶりに更新した。
債券と金は下落。
原油先物がは上昇。
12月の利上げ確率は前週末の31.0%から41.9%まで急回復した。
為替は109円台半ばへの急速な円安トレンド。
米ドルの売り残高が先週末2013年1月以来の最高水準に膨れ上がった反動との指摘も聞かれる。
週明けの日経平均は反発。
TOPIXは上昇幅を縮小したが日経平均は高値圏のままだった。
「TOPIXは前場に8月7日高値を起点に9月1日高値を通る右下がりの上値抵抗線のフシまでほぼ到達」という声もある。
「海外投資家の日本株への買い戻しが月曜1日だけで終わるほど、これまで売り越してきた金額は小さくない」という見方も登場した。
「財務省は日本郵政株の一部1.4兆円規模の追加売却を行うと発表。
株価の先行きに自信を持っているのだろう」という声もある。
日経平均の日足は陽線。200日線(19411円)をクリアし25日線(19554円)で頭を押さえられたが「形は悪くない」とも。
225先物大証夜間取引終値は日中比150円高の19560円。
現物では19680円水準だから25日線もクリアしてきた。
8月8日以来の25日線クリア、26週線(19581円)も上回ってこよう。
9月メジャーSQ値190278円は遥か下に見下ろす水準だ。
ただ9月陽線基準の9月1日終値19691円クリアは微妙なところ。
同日高値19735円というのも目標だ。
ちなみに8月29日に19280円を付けた後の戻り高値は19735円。
2日で455円戻していたのは記憶に新しいところ。
空売り比率は39.3%まで低下(前日41.6%)。
北朝鮮の不作為、ハリケーンの不作為などがもたらしたNY株高を踏襲した格好での続伸期待。
通常、市場は何か起こったことに反応するものだが、起こらなかったことにも反応するものだ。
(兜町カタリスト櫻井)
