22日のNYダウ工業株30種平均は小幅に続落し、前日比9ドル64セント安の2万2349ドル59セントで終えた。
トランプ大統領が北朝鮮への経済制裁強化に踏み切り、同国が水爆実験の実施を示唆して挑発するなど、地政学リスクへの警戒感から売りが先行。
投資家も様子見ムードとなっているが、来週に共和党上院が採決を行うとされる新たなオバマケア改廃案に対して、マケイン上院議員が反対を表明したことでヘルスケアセクターに買い戻しの動きが広がり、引けにかけて下げ幅を縮小した。
アップルへの売りが続いて相場の重荷となった。
アップルは週間の下げ幅が5%に達した。22日に新型スマートフォン「iPhone8」と腕時計型端末「アップルウオッチ」の新モデルを発売した。一部で売れ行きが懸念され、同社株の売りを招いている。
米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し「今は高値圏での足場固めの時期」(ケプナー氏)との声が聞かれた。ただ、22日は相場全体を方向付ける新規の取引材料に乏しく、個別の材料株の動きに左右されやすかった。この日はユダヤ教の祝日で市場参加者がやや少なかったとみられ、相場は盛り上がりを欠いたとの見方もあった。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに小反発し、前日比4.229ポイント高の6426.922で終えた。
セクター別では、電気通信サービスや自動車・自動車部品が上昇する一方で不動産や公益事業が下落した。
個別では、宝飾品のティファニー(TIF)はゴールドマンサックスによる投資判断引き下げを受け、下落。電気自動車(EV)のテスラの下げも目立った。
人工透析サービスのダビータ・ヘルスケア・パートナーズは急落。金融調査報道会社が22日付で、売上高の内訳に不明な点があると指摘したのが嫌気された。
一方で、ソフトバンクグループ傘下で米携帯電話4位のスプリント(S)スプリントは大幅高。同3位のTモバイルUS(TMUS)と統合に向けた仮条件で合意に近づいていると伝わり、買い材料視された。Tモバイルも上げたうえ、ベライゾン・コミュニケーションズにも買いが波及し相場を下支えした。個人情報の流出を受けて下げが続いてきた信用情報大手エクイファクスが大幅に上げ、女性向け衣料・雑貨のエル・ブランズも急伸した。
NYダウ工業株30種(ドル)
22,349.59-9.64
S&P500
2,502.22+1.62
ナスダック
6,426.922+4.229
米10年債利回り(%)2.253 -0.025
米2年債利回り(%) 1.431 -0.008
NY原油(ドル/バレル) 50.66 +0.11
円・ドル111.98 – 111.99 -0.56
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ12月物は前日比65円安の2万0200円で引け、同日の大取終値を20円上回った。北朝鮮情勢の緊迫化への懸念から円が反発し、相場を下押した。ダウ工業株30種平均の下げも売り材料だった。引けにかけては、ダウが下げ渋った場面で日経平均先物も下げ幅を縮めた。この日の12月物安値は2万0125円、高値は2万0285円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
20200 ( +20 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
20235 ( +55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反発した。前日終値に比べ46.74ポイント高の7310.64で引けた。石油株の上げが指数上昇に貢献し、構成銘柄の8割以上が上昇した。
メイ英首相は午後にイタリアで欧州連合(EU)離脱に関し演説した。演説が始まるとポンドが売られ、輸出関連株中心に買い圧力が強まった。
原油相場の上昇で、石油のBPとロイヤル・ダッチ・シェルが高くなった。医薬品株も買われた。アストラゼネカは、複数のアナリストが投資評価を引き上げたことが好感された。同業のグラクソ・スミスクラインとシャイアーも上がった。
半面、通期決算を発表した自動車・航空部品のスミス・グループは6%近く下落した。小売りのキングフィッシャーと梱包材メーカーのスマーフィット・カッパ・グループも売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は5日ぶりに小反落した。終値は前日比7.68ポイント安の12592.35だった。24日にドイツ連邦議会(下院)選挙を控え、様子見姿勢が広がった。
ドイツ取引所と工業用ガスのリンデ、重電のシーメンスが下落した。一方で、半導体のインフィニオンテクノロジーズと電力のエーオンは上昇した。
■フランス・パリ株価指数
5278.56 +11.27(+0.21%)
欧州の主要株式市場では、イタリアの株価指数FTSE・MIBの終値が0.17%上昇し22530.83と、2015年12月以来の高値で引けた。
