25日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比834ドル92セント(2.5%)高の3万4058ドル75セントで終えた。上昇幅、上昇率とも今年最大だった。
ロシア軍はこの日、ウクライナの首都キエフに入り、各地で攻勢を強めた。ウクライナ政府は、市民に抵抗を求め、抗戦の構えを示している。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、同国が「中立的地位」をとることをめぐり、ロシア側に協議を呼び掛けた。ロシア側も代表団をベラルーシの首都ミンスクに派遣する用意があると応じた。
ロシアがウクライナとの停戦交渉に応じる構えを示し、紛争の長期化が避けられるとの期待が高まった。ハイテク株が買われた前日に続き、景気敏感株やディフェンシブ株にも買いが広がった。
地政学リスクの高まりでダウ平均は23日までの4営業日で1800ドルあまり下落していた。「事態は流動的で不透明感は漂ったままだが、米株は売られすぎていたとみた買いが幅広く入った」という。
ダウ平均を構成する30銘柄すべてが上昇する中、ディフェンシブ株への買いが目立った。医薬品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソンは5%上昇。医療保険のユナイテッドヘルス・グループと日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は4%高で終えた。
ウクライナ紛争の世界経済への影響を警戒して前日まで売られがちだった景気敏感株も買い直された。工業製品・事務用品のスリーエムや機械のハネウェル・インターナショナル、金融のゴールドマン・サックスが高い。米原油価格は下落したが、石油のシェブロンは4%高となった。
ただ、売り方の買い戻しや短期的な押し目買いで相場は急伸したものの、投資家の先安懸念はくすぶったままだ。投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は27.5と前日比9%低下したが、不安心理が高まった状態とされる20を大幅に上回っている。
一方、米商務省は朝方、1月の個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比6.1%上昇したと発表した。約40年ぶりの伸びとなり、インフレ圧力が強いことを示した。ただ、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げが既定路線化しており、相場への影響は限定的だった。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比221.039ポイント(1.6%)高の1万3694.624で終えた。前日に上昇が目立ったソフトウエアのマイクロソフトが続伸するなど、主力株は軒並み上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,058.75+834.92
S&P500種
4,384.65+95.95
ナスダック
13,694.624+221.039
FTウィルシャー5000
44,857.30+987.22
NY金(ドル/トロイオンス)
1,887.60-38.70
NY原油(ドル/バレル)
91.94-0.8725日 16:59
円・ドル
115.51 – 115.53+0.90
【シカゴ日本株先物概況】
25日のシカゴ日経平均先物は大幅に反発した。3月物は前日比720円高の2万6980円で引け、25日の大取終値を480円上回った。
ロシアのプーチン大統領がウクライナと高官レベルの協議に前向きだとの報道を受け投資家心理が改善し、寄り付き後上昇。停戦交渉への期待に加え、1月耐久財受注や個人消費支出(PCE)、2月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値など予想を上回る経済指標も手伝い、終日堅調に推移した。週末を控え、売り持ち解消の動きも出た。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
26980 ( +480 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
26990 ( +490 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
25日のFTSE100種総合株価指数は大幅反発した。前日に比べ282.08ポイント(3.91%)高の7489.46で引けた。ロシアがウクライナを巡り、停戦交渉に応じる用意があるとの意向を示したことを受け、リスク回避姿勢が後退し、幅広い銘柄に買いが入った。
個別では、前日急落したロシア鉄鋼大手エブラズ(19.5%高)と産金・産銀会社ポリメタル・インターナショナル(17.0%高)がそろって急反発。金融大手スタンダード・チャータード(8.7%高)や同ロイズ・バンキング・グループ(6.7%高)も買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
25日のドイツ株価指数(DAX)は8営業日ぶりに大幅反発し、前日比515.13ポイント(3.67%)高の1万4567.23で終えた。ロシアのプーチン大統領がウクライナとの停戦交渉に応じる意向を示した。情勢の一段の悪化が避けられるとの期待から買いが優勢になった。前日までで7日続落していたため、短期的な戻りを見込んだ買いも入りやすかった。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は3.55%高の6752.43だった。
ロシアのウクライナ侵攻に伴うリスク回避ムードが一服し、軒並み急反発した。
