5日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比80ドル34セント(0.2%)高の3万3482ドル72セントで終えた。
米民間雇用サービス会社ADPがこの日発表した3月の全米雇用報告では、非農業部門の民間就業者数が前月比14万5000人増となった。市場予想を大きく下回った。また、米サプライ管理協会(ISM)が発表した3月の米サービス業購買担当者景況指数(PMI)は51.2となり、前月から低下した。
市場予想を下回る米経済指標の発表が相次ぎ、景気懸念が相場全体の重荷となった。一方、景気動向に左右されにくいディフェンシブ株に買いが入り、ダウ平均を支えた。
米景気懸念が強まるなか、ディフェンシブ株の上げが目立った。医療保険のユナイテッドヘルス・グループや製薬のメルクが高い。集団訴訟で和解案を示した医薬・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は4.5%高となった。
半面、景気敏感株や消費関連株は売りが優勢だった。航空機のボーイングや建機のキャタピラー、スポーツ用品のナイキ、ホームセンターのホーム・デポが下落。ハイテク株も売りに押され、スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトが下げた。
市場では非製造業の景況感の悪化を受け「景気減速がサービス業を含む幅広い分野に広がり、主力ハイテク企業も影響を避けられないとの懸念を強めた」(マーフィー・アンド・シルヴェスト・ウェルス・マネジメントのポール・ノルティ氏)との声が聞かれた。3月は米長期金利の急低下などを背景に、主力ハイテク株が買われていた。ディフェンシブ株や配当利回りが高い銘柄へ資金がシフトしやすかったという。
ナスダック総合株価指数は3日続落し、前日比129.465ポイント(1.1%)安の1万1996.862で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや電気自動車のテスラの下げが目立った。半導体株も売りが優勢だった。
【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比395円安の2万7695円で引けた。
NYダウは景気後退懸念が強まる中、景気変動の影響を受けにくいヘルスケア関連が買われ、反発した。
米経済指標が相次いで下振れしたことで米景気懸念が強まり、日経平均先物には売りが優勢だった。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
27695 ( -125 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27760 ( -60 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7662.94(+28.42)
5日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日に比べ28.42ポイント(0.37%)高の7662.94で終えた。卵巣がんに関する臨床試験の中間分析から、肯定的な結果が示されたと発表した英製薬大手アストラゼネカが3%高となるなど医薬品セクターが買われた。
5日発表の3月の英サービス業購買担当者景気指数(PMI)改定値が52.9と、市場予想を小幅ながら上回ったのも投資家心理を支えた。
個別では、水道サービス会社ユナイテッド・ユーティリティーズ・グループが3.4%高で上昇率トップ。製薬大手アストラゼネカが3.1%高、大衆医薬品のヘイリオンが2.9%高で続いた。半面、景気敏感株は売られ、工業・電子製品大手RSグループは6.3%安、セメント大手CRHは5.5%安、ホームセンター大手キングフィッシャーは4.1%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15520.17(-83.30)
5日のドイツ株価指数(DAX)は反落した。前日に比べ83.30ポイント(0.53%)安の1万5520.17で終えた。市場予想を下回る米経済指標の発表が相次いだのを受け、金融引き締め長期化によるユーロ圏の景気冷え込みへの警戒感が強まった。自動車株や資本財株、化学株など景気敏感セクターの下落が目立った。
個別では、通信大手ドイツテレコム(3.0%高)、製薬大手サルトリアス(2.8%高)、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズ(2.0%高)が買われる一方、防衛大手ラインメタル(7.1%安)、商用車大手ダイムラー・トラック(5.5%安)、自動車部品大手コンチネンタル(5.2%安)は売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7316.30(-28.66)
フランスCAC40種指数は0.39%安だった。欧州市場は景気の先行きに対する懸念から売りが優勢だった。
