ダウ754ドル高と反発 インフレ懸念薄れ

19日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比754ドル44セント(2.4%)高の3万1827ドル05セントで終えた。

インフレ加速を背景に米連邦準備理事会(FRB)の急激な利上げが米景気を冷やすとの警戒感が後退。景気敏感株やハイテク株など幅広い銘柄に短期的な戻りを見込んだ買いが入った。

米国では、4~6月期決算発表が本格化している。前日に決算発表した金融大手ゴールドマン・サックスは、大幅減益だったものの、1株当たりの利益は市場予想を上回った。5.6%高と大幅に上昇し、ダウ平均をけん引した。石油大手のハリバートンは、原油高の追い風を受け、市場予想を上回る好決算だった。

 

市場では、「企業業績は、予想していたよりも底堅い」(米銀エコノミスト)との声が上がり、買いにつながった。米連邦準備制度理事会(FRB)が7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で1%の大幅利上げを実施するとの観測が薄れ、0.75%に落ち着くとの見方が広がっていることも下支えとなった。

「強かったインフレ懸念が弱まり、買いの好機と捉える投資家が増え始めた」との声があった。「相場の底入れ期待が高まり、中長期的な上昇基調に転じる可能性もないわけではない。運用成績で負けられない機関投資家が買いを入れざるをえなかったのではないか」との見方も聞かれた。

主要企業の4~6月期の決算発表シーズンに入っているが、売上高や1株利益などが市場予想を上回る例が多い。4~6月期決算は想定よりも底堅くなるとの見方が意識されたのも投資家心理を上向けた。

主力中型機の納入再開が明らかになった航空機のボーイング、金融ゴールドマン・サックスがともに6%上げた。化学のダウや建機のキャタピラーの上げも目立った。消費減速懸念から売られてきたスポーツ用品のナイキや映画・娯楽のウォルト・ディズニーなども買われた。

一方、決算と併せて22年12月期通期のフリーキャッシュフロー(純現金収支)見通しを引き下げたIBMが5%安。22年12月期見通しを下方修正した医薬・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も安い。

ナスダック総合株価指数は反発し、前日比353.100ポイント(3.1%)高の1万1713.148で終えた。引け後に決算発表を控えていた動画配信のネットフリックスが6%高で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタプラットフォームズ、ネット検索のアルファベットも大幅高で終えた。

 


【シカゴ日本株先物概況】

19日のシカゴ日経平均先物は上昇した。
9月物は前日比445円高の2万7365円で引け、19日の大取終値を435円上回った。米利上げ加速による景気悪化への警戒感が薄れ、日経平均先物は米株とともに買い進まれた。引けにかけて一段高になり、この日の高値近くで取引を終えた。

シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
27365 ( +435 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
27400 ( +470 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7296.28(+73.04)

19日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸し、前日に比べ73.04ポイント(1.01%)高の7296.28で引けた。ロシアからの天然ガスの供給不安が後退したことで、ドイツなど英国以外の欧州の主要株価指数が上昇し、投資家心理が改善した。銀行や消費財、資本財など景気敏感株が買われた。

FTSEでは、良好な業績見通しを公表したビジネス情報会社インフォーマが5.9%高と上昇率トップ。消費関連株や金融関連株も堅調だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13308.41(+348.60)

19日のドイツ株価指数(DAX)は大幅に3日続伸した。前日に比べ348.60ポイント(2.69%)高の1万3308.41で終えた。ロシアからの天然ガス供給に対する過度な不安が和らぎ、投資家心理が上向いた。

ロイター通信は19日、ロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム」が定期検査の終了後、予定通り運転を再開する見通しだと報じた。ノルドストリームは11日から定期検査のため停止しており、市場ではロシアが検査終了後も供給停止を続けるとの不安が広がっていた。

DAXではアディダスが6.3%高と買われた。

 

■フランス・パリ株価指数
CAC40 6201.22(+109.31)
フランスCAC40種指数は1.79%高だった。

良好な企業決算を好感し、買いが先行した。ロシアから欧州に天然ガスを運ぶパイプライン「ノルドストリーム」が再開されると報じられたことも追い風となった。

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