6日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比75ドル86セント(0.19%)高の3万8661ドル05セントで終えた。
前日までの2日間で500ドルあまり下げた後で、値ごろ感からの買いが先行した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はこの日、連邦議会下院で、年内の利下げ開始が適切になるとの見方を示した。最近、一部の市場関係者から再度の利上げを見込む声や、年内の利下げはないとの予想も出ていた中、投資家に安心感が広がり、IT銘柄などが買われた。
利下げ観測が強まり、米長期金利が低下したことも株式相場を下支えした。
朝発表の2月のADP全米雇用リポートでは非農業部門の雇用者数が前月比14万人増え、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(15万人増)を下回った。同日発表の1月の全米雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人件数が886万件となり、前月(888万件)からわずかに減少した。米債券市場では長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が薄れたことも支えとなった。ダウ平均の上げ幅は270ドルを上回る場面があった。
市場では、「サプライズはほとんどなく、底堅い経済と労働市場とともにインフレの沈静化が続いているという前向きなトーンを維持した」との受け止めがあった。FRBが年内に利下げするという市場の見方を変えるほどではなく、株式相場への影響は限られた。
買いが一巡した後は、ダウ平均は伸び悩んだ。8日には2月の米雇用統計の発表がある。1月が想定より強い内容だったため、2月の結果を見極めたいという雰囲気がある。積極的に買いを入れる動きは限られ、主力銘柄の一部には売りが出た。午後にはダウ平均が小幅な下げに転じる場面もあった。
FRBが午後に発表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)は、経済活動が前回1月の報告時点から「全体としてわずかに拡大した」と総括した。物価上昇の勢いは緩和しているとの報告もあり、米景気の減速を改めて意識させた。
個別では、インテルやメルク、ビザなどが買われた。一方、シェブロンやナイキ、アップルは下落した。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前日比91.955ポイント(0.57%)高の1万6031.543で終えた。サイバーセキュリティーのクラウドストライク・ホールディングスが11%弱高となった。前日夕に発表した四半期決算と見通しを受け、アナリストからの目標株価引き上げが相次いだ。半面、アナリストの目標株価引き下げがあったテスラは下げた。
【シカゴ日本株先物概況】
6日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比530円高の4万330円で終えた。この日は米株式市場では
年内に米利下げが始まるとの期待の高まりを受け、3営業日ぶりに反発した。
ダウ工業株30種平均やナスダック総合株価指数など主要な株価指数がそろって上昇した。投資家心理が強気に傾き、日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
40330 ( +250 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
40335 ( +255 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7679.31(+33.15)
FTSE100 7679.31(+33.15)
6日のFTSE100種総合株価指数は続伸し、前日比33.15ポイント(0.43%)高の7679.31で終えた。原油先物の相場上昇を背景に英シェルなどエネルギー株が買われ、指数を支えた。
ハント英財務相が6日公表した予算案で、国民保険料率の引き下げを含めて家計負担を軽減する方針を示した。個人の投資支援へ向けた制度改革案とあわせて、投資家心理の支えとなった。ハント氏はエネルギー企業に対する追加課税を1年延長する方針も示したが、エネルギー企業の株価の反応は乏しかった。
FTSEの構成銘柄では、医療機器のコンバテックが6.10%高と急伸したほか、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が4.79%高、鉱業大手アングロ・アメリカンも3.73%高。一方、製薬会社ヒクマ・ファーマシューティカルズは3.03%安、産金大手フレスニロは2.92%安、段ボール大手スマーフィット・カッパは2.52%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 17716.71(+18.31)
6日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発し、前日比18.31ポイント(0.10%)高の1万7716.71で終えた。
欧州中央銀行(ECB)が7日に定例理事会の結果を公表する。今回の理事会では政策金利の据え置きを決めるとの予想が多いものの、将来的な利下げ観測は根強く、投資家心理の支えとなっている。一方で、2023年12月通期の減益決算を公表した物流大手DHLグループ株は下げ、前日比6%安で終えた。
個別では、香料大手シムライズが6.22%高、通販大手ザランドが3.20%高、化学大手BASFが2.71%高と上伸した半面、郵便・物流大手ドイツポストは6.28%安、ヘルスケア大手フレゼニウスは2.38%安、不動産大手ボノビアは2.20%安だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7954.74(+21.92)
フランスCAC40種指数は0.28%高だった。好感した米株高に追随し、欧州市場でもハイテク株や金融株を中心に買いが入った。
