ダウ652ドル安 変異型への警戒感

 
11月30日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比652ドル22セント(1.9%)安の3万4483ドル72セントとほぼ1カ月半ぶりの安値で終えた。
 
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の30日の議会証言を受けて、米金融政策の正常化が想定より早く進むとの見方が強まり、幅広い銘柄に売りが優勢となった。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大の懸念も相場の重荷だった。
 
新たなコロナ変異型「オミクロン型」に対するワクチンの有効性や、変異型の景気に与える影響が依然不透明な中、ダウ平均は下落して取引を開始。モデルナのバンセル最高経営責任者(CEO)が、オミクロン型へのワクチンの効果がこれまでの変異型に比べてかなり弱まるとの見方を示し、市場では懸念が強まった。
 
パウエル議長は「テーパリング(量的金融緩和の縮小)を2~3カ月早く終えるのを検討することが適切だ」と述べ、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で議論する考えを示した。インフレについても「(物価上昇要因は)一時的との文言を撤回する時期に来ている」と述べた。高まるインフレ圧力を抑えるため、FRBは金融引き締めを前倒しで進めると受け止められた。
 
オミクロン型への懸念も投資家心理を冷やした。既存のワクチンや治療薬はオミクロン型への効果が薄いとの報道や発表が相次いだ。感染が広がり、世界経済の回復が遅れるとの見方を誘った。ダウ平均は引け間際に711ドル安まで下げた。
 
景気敏感株に売りが目立ち、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや工業製品・事務用品のスリーエム、化学のダウが下げた。ハイテク株では顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが4%下げ、最高経営責任者による大量の保有株売却が伝わったソフトウエアのマイクロソフトは2%安となった。
 
投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は前日比18%高い27強と、不安心理が高まった状態である20を上回って終えた。
 
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比245.143ポイント安の1万5537.691で終えた。ネット検索のアルファベットやネット通販のアマゾン・ドット・コムなど主力株は総じて下落。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株も売られた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
34,483.72-652.22
S&P500種
4,567.00-88.27
ナスダック
15,537.691-245.143
NY金(ドル/トロイオンス)
1,776.50-8.70
NY原油(ドル/バレル)
67.00-2.95
円・ドル
113.14 – 113.16-0.04
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

30日のシカゴ日経平均先物は下落した。
12月物は前日比655円安の2万7675円で引けた。30日の大取終値は205円上回った。
米株式相場で売りが優勢となった流れを受けた。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が上院銀行委証言での質疑応答でインフレ高進が持続する可能性を警告し、12月連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入縮小ペース加速の選択肢を協議することが妥当との考えを示したため売りが加速し、終日軟調に推移した。
 
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
27675 ( +205 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
27675 ( +205 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7059.45(-50.50)
30日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日の終値に比べ50.50ポイント(0.71%)安の7059.45で引けた。
 
新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」に対するワクチン効果が低いとの報道を受けてリスク回避ムードが広がり、旅行関連株など幅広く売られた。
石油株や医薬品株など幅広い銘柄が売られた。指数構成銘柄の7割超が値下がりした。
 
個別では、ロンドン証券取引所(LSE)グループが5%超の下落と目立った。スーパーマーケットのセインズベリーも大幅安だった。
 
一方、鉱業大手アングロ・アメリカン(3.0%高)や産金・産銀会社ポリメタル・インターナショナル(2.6%高)、不動産株の住宅大手テイラー・ウィンペイ(2.3%高)は堅調だった。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15100.13(-180.73)
30日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて180.73ポイント(1.18%)安の1万5100.13だった。
 
新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」について、既存のワクチンなどの有効性に懐疑的な見方が出て、感染拡大を懸念した売りが広がった。午後の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言から米金融政策の正常化が進むとの見方も売りにつながった。
 
個別では、食材・レシピ宅配のハローフレッシュは5%超下げた。IT(情報技術)のSAPの下落も目立った。医療機器のザルトリウスは買われた。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6721.16(-55.09)
 
 

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