ダウ6日続落103ドル安、景気悪化懸念根強く

12日のNYダウ工業株30種平均は6日続落し、前日比103ドル81セント(0.3%)安の3万1730ドル30セントで終えた。
米長期金利の低下にもかかわらず、ハイテク株への売りが続いた。今年に入ってからの株価の大幅下落で信用取引の買い主体にはマージンコール(追い証)が発生しているとみられ、投資家の損失覚悟の投げ売りが相場下落につながった。
 
米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のために積極的な金融引き締めを続けるとの見方から、この日も売りが優勢となった。市場はFRBが6月に0.5%の大幅利上げを実施することをほぼ確実視。7月も同じ幅での利上げに踏み切るとの見方が大勢となっている。
ダウ平均の下げ幅は一時600ドル超に達した。ただ、ここ最近の大幅安を受けて値頃感も意識されたため、終盤に通信株や消費財株などを中心に買い戻され、ダウは下げ幅を縮めた。
 
スマートフォンのアップルが3%下落した。1月4日に付けた上場来高値からの下落率は2割を超え、2割超の下落で定義される「弱気相場」入りとなった。ミラー・タバックのマシュー・マリー氏は強固な財務体質で知られるアップル株が売り込まれたことについて「現金確保に迫られた投資家の売りがかさんだ」と指摘。追い証に直面した投資家による損失覚悟の投げ売りが強まった。投資家心理の悪化に伴い、ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースなどにも売りが及んだ。
 
朝方発表の4月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.5%上昇と市場予想に一致したものの、前年同月比では11.0%上昇と高水準の伸びが続いた。11日発表の4月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなったこともあり、米連邦準備理事会(FRB)が積極的に金融引き締めを進めるとの観測が広がっている。消費や景気が冷え込むとの見方から航空機のボーイングやクレジットカードのアメリカン・エキスプレス、建機のキャタピラーの下げが目立った。
 
映画・娯楽のウォルト・ディズニーは1%下落した。11日夕に発表した2022年1~3月期決算が市場予想を下回り、アナリストから業績の先行きに慎重な声が相次いだ。
 
ダウ平均は上昇する場面もあった。前日までの5営業日で2000ドルあまり下落しており、短期的に下げすぎとみた投資家の買いが入った。製薬のメルクやアムジェンなど業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ株が上昇し、相場全体を下支えした。
 
ナスダック総合株価指数は小幅に反発した。前日比6.726ポイント(0.1%)高の1万1370.962で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムと交流サイトのメタプラットフォームズが上昇した。電気自動車のテスラと半導体のエヌビディアは下落した。
 
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
31,730.30-103.81
S&P500種
3,930.08-5.10
ナスダック
11,370.962+6.726
FTウィルシャー5000
39,750.56+16.19
NY金(ドル/トロイオンス)
1,824.60-29.10
NY原油(ドル/バレル)
106.71+0.58
円・ドル
128.52 – 128.55-0.31
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

 
12日のシカゴ日経平均先物は小幅に続落した。6月物は前日比35円安の2万5800円で引け、12日の大取終値を30円上回った。
米国経済が景気後退入りするとの警戒感に、NYダウ平均は、寄り付き後、下落した。高インフレや連邦準備制度理事会(FRB)の引き締めへの警戒感も強く、終日軟調に推移した。不透明感が強く、荒い展開が続く中、値ごろ感からハイテク株が買われ、ナスダック総合指数は小幅高で引けた;
 
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
25800 ( +30 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
25815 ( +45 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7233.34(-114.32)
12日のFTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反落し、前日に比べ114.32ポイント(1.56%)安の7233.34で引けた。3月の月次国内総生産(GDP)が前月比マイナスとなり、英経済の成長鈍化懸念が株式の売りを促した。
個別銘柄では、メキシコ産金大手フレスニーヨが8.9%の大幅安。英石油大手BPが4.7%安、英鉱業大手アングロ・アメリカンが4.6%安となるなど、資源株が下げを主導した。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13739.64(-89.00)
12日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反落した。前日に比べ89.00ポイント(0.64%)安の1万3739.64で終えた。高インフレや米金融引き締めペースの加速、中国の景気減速に対する懸念などが欧州景気の先行き不安を高め株式の売りを促した。ロシア産資源の供給不安が高まったのも投資家心理の重荷だった。
DAXでは独自動車大手BMWが7.9%と軟調だった。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6206.26(-63.47)
フランスCAC40種指数は1.01%安となった。
世界経済の減速懸念を背景に、投資家のリスク回避姿勢が強まった。
CACでは欧州航空機大手エアバスが2.9%安とさえなかった。

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