ダウ5日続伸222ドル高、雇用統計で利上げ観測後退

3日のNYダウ工業株30種平均は5日続伸した。前日比222ドル24セント(0.65%)高の3万4061ドル32セントと、9月下旬以来の高値で終えた
 
朝方発表された10月の雇用統計によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比15万人増加。伸びは前月実績から大幅に縮小し、市場予想も下回った。

同統計を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が年内の追加利上げを見送るとの見方が強まり、ダウは取引序盤から買いが先行。米サプライ管理協会(ISM)のサービス業購買担当者景況指数(PMI)が市場予想を下回ったことも相場の支援材料となり、ダウは終日堅調な値動きを維持した。雇用統計を眺めて米長期金利が急低下したことも好感され、ハイテク株を中心に買いが広がった。
 
雇用統計では雇用者数が前月比15万人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(17万人増)を下回った。8~9月分も下方修正された。失業率は3.9%と前月と同じ3.8%を見込んでいた市場予想以上だった。平均時給は前月比0.2%増で、市場予想(0.3%増)ほど伸びなかった。
 
市場では「労働需給の逼迫が緩和し、賃金上昇圧力を高めないペースでの雇用の伸びが続くとの期待が強まった」との声があった。10月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業(サービス業)景況感指数も市場予想以上に低下し、米景気の減速を示した。
 
米長期金利は一時、前日比0.18%低い(価格は高い)4.48%と9月下旬以来の水準に低下した。今週発表の経済指標や1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けてFRBの追加利上げ観測が後退し、週初の4.9%近辺から大幅に水準を切り下げている。
 
金利低下を背景に不動産や素材、金融、電気・通信サービス、消費関連など幅広い業種や銘柄に買いが入った。ダウ平均では金融のゴールドマン・サックスや映画・娯楽のウォルト・ディズニーなどが買われた。
 
一方、スマートフォンのアップルは下落した。2日夕に発表した2023年7~9月期決算で売上高と1株利益が市場予想を上回ったものの、決算説明会で示した10~12月期の売上高見通しが慎重だった。
 
ダウ平均の上げ幅は一時320ドルを超えた。前週末に約7カ月ぶりの安値を付け、自律反発狙いの買いも続いた。週間の上げ幅は1600ドル強と昨年10月下旬以来の大きさだった。
 
ナスダック総合株価指数は6日続伸し、前日比184.092ポイント(1.38%)高の1万3478.283で終えた。半導体のエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の上昇が目立った。
 

【シカゴ日本株先物概況】
 

2日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比455円高の3万2310円で終えた。
2日発表の米経済指標が賃金インフレの鈍化を示し、米金融引き締めの長期化観測が和らいだ。米国の追加利上げ観測が後退する中、米長期金利の低下を受け、株式の相対的な割高感が薄れたとみた買いが広がった。
米株式相場が大幅に上昇し、日経平均先物にも買いが波及した。
 
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
32735 ( +855 )


シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
32750 ( +870 )


( )は大阪取引所終値比
 
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 

3日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日に比べ28.80ポイント(0.39%)安の7417.73で終えた。

欧米の主要な中央銀行が利上げ局面を終えた可能性が意識されていることも株式相場の支えだった。英国時間午後に発表された10月の米雇用統計では、雇用者数が市場予想ほど増えなかった。指標の発表後に米長期金利が低下幅を広げると、

FTSE100種指数は上昇する場面があった。

FTSEの構成銘柄では、前日に上昇が目立った石油大手シェルが4.17%安と最も大きく売られた。2日に2023年7~9月期決算を発表した。純利益は前年同期比4%増となったが、特殊要因を除くベースでは減益だった。自社株買いの規模を拡大すると公表したこともあり、2日は株価上昇が目立っていた。エネルギー小売り大手セントリカが2.73%安、給食サービスのコンパス・グループが2.38%安で続いた。

 
一方、オンライン食品販売大手オカド・グループは6.48%高と急伸。通信大手BTは5.70%高、産金大手エンデバー・マイニングも5.01%高となった。
 
 
 
 

■ドイツ・フランクフルト株価指数

3日のドイツ株価指数(DAX)は5日続伸し、前日比45.65ポイント(0.30%)高の1万5189.25で終えた。欧米の主要な中央銀行が利上げ局面を終了したとの見方から欧米の長期金利が低下し、投資家心理を支えた。金利動向の影響を受けやすい不動産株が上昇。不動産大手ボノビア株は7日続伸した。

個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジーが8.70%高上昇。信用保証の付与を求めた独政府との協議が合意に達しそうだとの期待が市場の一部で浮上していることが背景にある。通販大手ザランドが7.86%高不動産大手ボノビアが7.78%高と大きく上昇だった。

半面、ハノーバー再保険は2.18%安、ミュンヘン再保険は2.06%安、ヘルスケアのフレゼニウスは1.59%安で取引を終えた。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は0.19%安(週間では3.71%高)だった。
不動産株などに金利低下を好感した買いが入り、総じて堅調だった。
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