16日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比314ドル25セント(0.93%)高の3万3984ドル54セントで終えた。米主要企業の決算発表が本格化するなか、内容が市場の想定より上振れすることを見込んだ買いが入った。米連邦準備理事会(FRB)が次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くとの観測も株式相場の支えとなった。
既に公表された2023年7~9月期決算の決算では、金融大手JPモルガン・チェースなどが市場予想を上回る収益を確保。「業績に対する安心感」が相場全体を押し上げた。決算発表が今週から本格化する中、17日に控える米金融大手ゴールドマン・サックスは業績への期待から、1.7%高だった。
ダウ構成銘柄の大半が値を上げ、全体の上げ幅は一時400ドルを超えた。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、18日に発表を予定する電気自動車のテスラと動画配信のネットフリックスも高かった。
FRBによる追加利上げ観測が後退していることも、株買いを後押しした。シカゴ連銀のグールズビー総裁が米国のインフレが沈静化する方向にあるのは「否定できない」と語ったと英フィナンシャル・タイムズ電子版が16日に報じた。政策判断に踏み込んだ発言はなかったが、このところFRB高官による政策金利の据え置きに前向きと受け止められる発言が目立っている。
市場では「高水準の政策金利を長く維持するとの見方は変わっていないが、利上げ停止を見込んだ買いが入りやすい」との声が聞かれた。ダウ平均の上げ幅は400ドルを超える場面があった。
もっとも、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が続いており、地政学リスクが高まっている。米債券市場では長期金利が4.7%台前半と前週末終値(4.61%)から大幅に上昇する場面があり、投資家心理の重荷となった。
個別では、スポーツ用品のナイキやホームセンターのホーム・デポなど消費関連株の一角への買いが目立った。顧客情報管理(CRM)のセールスフォースやソフトウエアのマイクロソフトも高い。通信のベライゾン・コミュニケーションズや保険のトラベラーズなどディフェンシブ株も買いが優勢だった。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前週末比160.750ポイント(1.19%)高の1万3567.984で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタプラットフォームズ、ネット検索のアルファベットなど主力株が買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前週末比75円高の3万1960円で終えた。米主要企業の四半期決算発表が本格化するなか、業績改善への期待から同日の米株式相場が上昇。投資家心理が強気に傾き、日経平均先物も買い優勢となった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
31960 ( +280 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
31985 ( +305 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7630.63(+31.03)
16日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前週末に比べ31.03ポイント(0.40%)高の7630.63で引けた。イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続き、中東情勢の緊張が意識されるなか、産油国の供給体制に悪影響が及びかねないとの懸念からエネルギー株が上昇し、指数を支えた。素材株も買われた。
石油大手シェルは前週末比で1%上昇し、年初来高値を更新した。資源大手のリオ・ティントや蒸留酒最大手のディアジオの上昇が目立ったほか、保険のプルデンシャルも上げた。
FTSEの構成銘柄では、前週末に売り込まれた保険会社セント・ジェームズ・プレイスが5.00%高と反発。衣料小売り大手ネクストが3.44%高、投資会社ハーグリーブス・ランズダウンが2.97%高で続いた。一方、オンライン食品販売大手オカド・グループは5.80%安、品質検査会社インターテックは1.57%安、通信大手エアテル・アフリカは1.44%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15237.99(+51.33)
16日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発し、前週末比51.33ポイント(0.33%)高の1万5237.99で終えた。金融株の上昇が目立った。自動車や小売り関連、素材など景気敏感株に買いが入った。
コメルツ銀行は前週末比で4.8%上昇した。欧州投資銀行(EIB)が16日、コメルツ銀と協力して欧州連合(EU)圏内の中小企業向け融資を進める方針を示した。EIBは、金利上昇や物価高などを背景に中小企業の資金調達が難しくなっていると説明した。
個別では、コメルツ銀行が4.82%高、通販大手ザランドが4.04%高、ドイツ銀行が1.73%高と買われた半面、医療機器のザルトリウスは3.23%安、素材化学大手コベストロは2.68%安、ヘルスケア大手フレゼニウスは1.41%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7022.19(+18.66)
フランスCAC40種指数は0.27%高だった。
この日の原油相場はやや軟化したものの、エネルギー価格上昇による業績期待から資源株を中心に買いが入った。
