20日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比110ドル39セント(0.3%)安の3万3786ドル62セントで終えた。電気自動車のテスラなど主要企業が減益決算を発表し、企業業績への不透明感が強まった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げが続き、米景気を冷やすとの観測も投資家心理の重荷だった。
テスラが前日夕に発表した1~3月期決算は、約3年ぶりの減益決算だった。世界で実施した値下げが減益の主因だったにもかかわらず、マスク最高経営責任者(CEO)は値下げ継続を示唆。同社株への売りが膨らみ、株価全体の重しとなった。アメリカン・エキスプレス(アメックス)やAT&Tの決算もさえない内容となり、いずれの銘柄も売られた。AT&Tの同業で、ダウ平均構成銘柄のベライゾン・コミュニケーションズにも売りが波及した。
FRBの利上げが長期化し、米景気悪化を招くとの見方から景気敏感株や消費関連株が売られた。20日発表の4月のフィラデルフィア連銀の製造業景況指数が市場予想以上に悪化した。
一方、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は19日夜の講演で高インフレを抑制するための利上げ継続を支持した。クリーブランド連銀のメスター総裁も20日、インフレ目標達成のために一段の金融引き締めが必要との見方を示した。
「市場が6月以降も米利上げが続く可能性を織り込み始めた」との声があった。ダウ平均は220ドル近く下げる場面があった。
売り一巡後は下げ幅を縮小する場面もあった。ハイテク大手を含め、来週にかけても主要企業の決算発表が続く。実績や見通しを見極めたい投資家が多かった。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比97.668ポイント(0.8%)安の1万2059.558で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
20日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比55円高の2万8605円で終えた。
NYダウは、テスラのさえない決算や弱い経済指標が重しとなり、3日続落した。
同日の日経平均株価が上昇し、シカゴ市場の先物にも買いが優勢だった。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
28605 ( -45 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28630 ( -20 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7902.61(+3.84)
20日のFTSE100種総合株価指数は小幅に反発した。前日に比べ3.84ポイント(0.05%)高の7902.61で終えた。20日に2023年1~3月期の売上高が前年同期から大幅に増えたと明らかにした害虫駆除のレントキル・イニシャルが上昇するなど、商業・専門サービスが買われた。日用品など消費関連銘柄に買いが入った。半面、欧米中央銀行の金融引き締め継続による需要後退懸念からエネルギーや資源が売られ、上値は限られた。
個別では、物流施設大手セグロが3.6%高で上昇率トップ。大衆医薬品のヘイリオンが2.9%高、保険大手ビーズリーが2.5%高、医療機器大手スミス・アンド・ネフューが1.9%高で続いた。一方、包装資材大手DSスミスは2.6%安、産銅大手アントファガスタは2.5%安、段ボール大手スマーフィット・カッパは2.4%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15795.97(-99.23)
20日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反落した。前日に比べ99.23ポイント(0.62%)安の1万5795.97で終えた。電気自動車(EV)の米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が19日、需要喚起のための値下げを続けることを示唆した。販売価格競争が激化するとの懸念から自動車株が軒並み売られた。
個別では、商用車大手ダイムラー・トラックが1.8%高、シーメンス・ヘルシニアーズとハノーバー再保険が1.6%高と買われた半面、医療機器のザルトリウスが10.7%安と急落。高級車メーカーのポルシェは4.2%安、自動車部品大手コンチネンタルも4.1%安と売り込まれた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7538.71(-10.73)
フランスCAC40種指数は0.14%安だった。
