1日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比71ドル15セント(0.2%)高の3万5630ドル68セントと昨年2月以来の高値で終えた。
建設機械大手キャタピラーがこの日発表した4~6月期決算は、1株当たり利益、売上高ともに市場予想を上回った。今回の決算発表シーズンで示されたおおむね堅調な業績に沿った内容で、今後の決算にも楽観的な見方が広がり、取引序盤のダウは堅調な値動きを示した。
キャタピラーは9%高で終え、1銘柄でダウ平均を150ドルあまり押し上げた。4〜6月期の売上高と1株利益が市場予想を上回り、好感した買いが入った。米連邦準備理事会(FRB)が7月を最後に利上げを打ち止めにするとの期待も相場を支えた。
半面、長期金利が上昇したことが投資家心理の重荷となり、指数の上昇幅は限られた。
1日に発表された6月の雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数は958万2000件と前月からわずかに減少した。7月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は前月から改善したものの、市場予想に届かなかった。市場では「米景気の楽観を後退させるような内容ではない」との受け止めがあった。
米債券市場では、長期金利が一時4.05%(前日終値は3.96%)まで上昇した。高PER(株価収益率)株の相対的な割高感が意識され、相場の重荷となった。ダウ平均と機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数はいずれも前日に年初来高値を付けていた後で、主力銘柄には持ち高調整の売りが出やすかった面もある。
ネットワーク機器のシスコシステムズ、クレジットカードのビザ、医薬品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソンが上昇。一方、通信のベライゾン・コミュニケーションズ、化学のダウ、スポーツ用品のナイキが売られた。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日比62.111ポイント(0.4%)安の1万4283.913で終えた。電気自動車のテスラやネット通販のアマゾン・ドット・コムが下げた。
【シカゴ日本株先物概況】
1日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比60円安の3万3200円で終えた。同日は米株式市場でダウ工業株30種平均が上昇し、東京株式市場でも日経平均株価が上げていたが、日経平均先物への影響は限られた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
1日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反落した。前日に比べ33.14ポイント(0.43%)安の7666.27で取引を終えた。1日発表の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を下回り、同国の経済回復に対する警戒感が改めて広がった。非鉄金属や原油相場の下落で、資源とエネルギーセクターに売りが出た。
1日発表の2023年4~6月期決算で、純利益が市場予想を下回ったエネルギー大手BPは、引けにかけて売り優勢に転じ、前日比0.26%安で終えた。
FTSEの構成銘柄では、保険大手ビーズリーが5.10%安と下落率トップ。産金大手フレスニロは4.40%安、小売大手JDスポーツスポーツファッションは2.82%安と続いた。
一方、エンジニアリング会社ウィアーグループは2.15%高、不動産サイト大手は1.79%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
1日のドイツ株価指数(DAX)は続落した。前日に比べ206.43ポイント(1.26%)安の1万6240.40で取引を終えた。1日発表のユーロ圏や中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)をきっかけに、改めて製造業の景況感の悪化が意識された。金融引き締めの影響がこの先一段と強まっていくとの警戒感が株式相場の重荷だった。ドイツ長期金利の上昇も高PER(株価収益率)銘柄の売りを促した。自動車や小売りなどの消費財、ハイテクや化学など幅広いセクターが売られた。
個別では、自動車大手BMWが5.39%安、郵便・物流大手ドイツポストが5.19%安、通販大手ザランドは3.47%安と売られた半面、防衛大手ラインメタルが1.98%高、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズが1.32%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は1.22%安だった。
この日発表された中国の7月製造業購買担当者景況指数(PMI)の落ち込みを受け、最大消費国の中国需要に対する懸念が出て下落した鉱山株を中心に反落した。ユーロ圏でも鉱山株や自動車メーカー株などが株価を押し下げた。
