12日のNYダウ工業株30種平均が大幅に3日続伸し、前日比243ドル95セント高の2万7332ドル03セントと連日で過去最高値を更新した。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は10日の議会証言で「やや緩和的な政策を必要とする条件が整ってきた」と表明。7月利下げの可能性を強く示唆したことを好感した旺盛な買いが12日も継続した。
S&P500種株価指数は4日続伸し、13.86ポイント高の3013.77で終えた。連日で最高値を更新し、初めて3000の大台に乗せた。S&P500が明確に節目の3000を超えたこともあり、投資資金の流入が加速した面があった。
世界景気の減速などを背景にFRBだけでなく、欧州中央銀行(ECB)など主要国の中銀も緩和に傾いている。緩和的な金融環境で米株式市場に資金が向かいやすいとの見方が引き続き買い安心感につながった。
銀行大手が先陣を切るかたちで、来週から米主要企業の四半期決算発表が本格化する。世界景気の減速懸念や米中貿易摩擦を背景に市場予想が切り下がってきたため、懸念したほど業績が悪化しないと期待した買いも入った。
ダウ平均の構成銘柄では化学のダウや建機のキャタピラー、事務用品・工業製品のスリーエム(3M)など米中貿易交渉への不透明感などから相場全体に出遅れていた素材や資本財・サービス関連などへの買いが目立った。航空機のボーイングや医療保険のユナイテッドヘルス・グループなども上げた。
一方、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は4%超下げた。米司法省がベビーパウダーに発がん性物質が含まれていたことを把握しながら公表しなかった可能性を捜査していると伝わった。
ナスダック総合株価指数は反発し、同48.101ポイント高の8244.144と2日ぶりに最高値を更新した。利下げ期待に加え、12日は米長期金利が低下した。割高感が薄れたとして、アップルやアルファベットなどの主要ハイテク株が買われた。フェイスブックも上げた。プライバシー保護問題で米連邦取引委員会(FTC)が50億ドルの制裁金支払いで和解する方針と伝わった。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,332.03+243.95
S&P500種
3,013.77+13.86
ナスダック
8,244.144+48.101
NY金(ドル/トロイオンス)
1,412.20+5.50
NY原油(ドル/バレル)
60.39+0.19
円・ドル
107.87 – 107.88-0.18
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅に下落した。
9月物は前日比15円安の2万1580円で終え、大阪取引所の終値を50円下回った。
米利下げ期待を背景に円相場が上昇したのが嫌気された。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が10~11日の議会証言で利下げを示唆し、7月末にも利下げするとの観測が強まった。12日のNYダウ工業株30種平均は過去最高値を連日更新したものの、日経平均先物への買いは限られた。
安値は2万1555円、高値は2万1680円だった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
21580 ( -50 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
21585 ( -45 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数はレンジ取引の中を7日続落した。前日の終値に比べ3.85ポイント安の7505.97で引けた。ただ、構成銘柄の約6割は上昇した。
米利下げ観測が高まり、上がって始まったが、徐々に上げ幅が縮まり、午後には下げに転じた。医薬品株が売られ、株価指数を押し下げる一方で、住宅建設株の値上がりが指数の下値を支えた。
個別銘柄では、保険のヒスコックスは売られた。上期利益が市場予想を上回るとの見通しを示したものの、市場環境が引き続き悪化していると指摘したことが響いた。通期業績見通しを据え置いたビジネスサポートのDCCは1.5%安と下がった。総合公益会社のユナイテッド・ユーティリティーズ・グループは1.0%安、アナリストが株価目標を引き下げたことから下落した。
半面、前日に引き続き住宅建設株は買われた。パーシモンは4%超の上昇と目立った。
英包装資材DSスミスは3.2%高。高級衣料バーバリー、アイルランド段ボール大手スマーフィット・カッパ、包装資材大手モンディは各2.7%高と好調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は6日続落した。終値は前日と比べて8.80ポイント(0.07%)安の12323.32だった。
米国の早期利下げ観測が広がり、買いが優勢だったが、米中貿易協議の先行き不透明感が材料視され、午後には下げに転じた。
個別では、自動車のダイムラーは下落した。第2四半期の業績予想を引き下げたことが嫌気された。EBIT(利払い・税引き前利益)は赤字となる見通しだ。医療機器のフレゼニウスと、透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアも売られた。
一方で、素材メーカーのコベストロは買われた。ドイツ銀行は、アナリストが投資判断と株価目標をともに引き上げたことなどが好感され、上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,572.86 +20.91
