8日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比168ドル59セント(0.5%)高の3万3833ドル61セントで終えた。
約1カ月ぶりの高値。8日発表の経済指標が労働市場の軟化を示したと受け止められた。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化への懸念が和らぎ、金利が低下したことで株式の買い安心感が広がった。
朝方発表された最新週の米新規失業保険申請件数は3週連続で悪化。26万1000件と市場予想(23万5000件)を上回り、約1年7カ月ぶりの高水準となった。同統計で景気を巡る懸念が高まり米長期金利が低下。これを眺めて割安感が意識されたハイテク株が特に買われ、ダウは取引序盤から強含みに推移した。
今週に入ってオーストラリアやカナダの中央銀行が相次いで利上げを決めた。FRBの金融引き締め継続の観測も高まっていただけに、過度な警戒が和らいだ。
市場では、13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置き、その後の会合でも利上げ圧力が和らぐと受け止められた。米債券市場では、長期金利が3.7%台前半に低下(前日終値は3.79%)し、相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株に買いが入った。
顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルが上昇した。航空機のボーイングや半導体のインテルも買われた。半面、化学のダウやクレジットカードのビザは下落した。
来週予定されている米消費者物価指数(CPI)公表、連邦公開市場委員会(FOMC)やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見を控え、今週のこれまでの地合いを引き継いで様子見気分が強く、比較的薄商いだった。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比133.629ポイント(1.0%)高の1万3238.524で終えた。電気自動車のテスラや半導体のエヌビディアが上昇した。
S&P500種株価指数も反発し、前日比0.6%高い4293.93で終えた。2022年8月16日以来、およそ10カ月ぶりの高値。22年10月に付けた安値(3577.03)からの上昇率は20%に達した。
【シカゴ日本株先物概況】
8日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比5円高の3万1835円で終えた。米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを長期化するとの観測が和らいだことで8日の米株式相場が上昇し、日経平均先物にも買いが波及した。ただ、日本株は33年ぶりの高値圏にあるため、利益確定の売りも出て上値は重かった。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7599.74(-24.60)
8日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ24.60ポイント(0.32%)安の7599.74で取引を終えた。イングランド銀行(英中央銀行)の金融引き締め継続による金利上昇や景気減速への懸念が投資家心理を圧迫した。外国為替市場で、対ドルで英ポンド高が進んだのも輸出関連銘柄の重荷だった。日用品や銀行などが下落した。
個別では、通信大手ボーダフォンが5.52%安と下落幅トップ。流通大手セインズベリーが3.78%安、広告会社WPPが2.44%安と続いた。また、投資会社ハーグリーブス・ランズダウンは3.1%高、賭け屋大手エンテインは1.41%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15989.96(+29.40)
8日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ29.40ポイント(0.18%)高の1万5989.96で取引を終えた。中国当局による政策への期待が投資家心理を支えた。自動車や資本財、化学など景気敏感セクターが上昇した。半面、欧州中央銀行(ECB)の金融引き締め継続による景気の減速懸念は強く、上値は限定的だった。来週に米連邦準備理事会(FRB)やECBの政策決定を控えるなか、様子見ムードが強まりやすく取引は低調だった。
個別では、商用車大手ダイムラー・トラックが2.37%の上昇。セメント大手ハイデルベルクセメントが2.17%高、自動車部品大手コンチネンタルが1.93%高と買われた。一方、製薬会社サルトリアス(2.83%安)や、エネルギー大手シーメンス・エナジー(2.10%安)は下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7222.15(+19.36)
フランスCAC40種指数は0.27%高で取引を終了した。
世界的に金利の高止まりが長期化するとの懸念が出て、株価は押し下げられた。
