ダウ115ドル高と続伸、債務上限問題への懸念後退

18日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比115ドル14セント(0.3%)高の3万3535ドル91セントで終えた。米債務上限問題への懸念が後退しつつあり、ハイテク株などへの買いが広がった。半面、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化が米景気を冷やすとの見方は重荷となり、ダウ平均は下げる場面もあった。

利上げに積極的な「タカ派」姿勢を明確にするFRB高官らによる発言が相次ぎ、利上げ継続への警戒感から、ダウは寄り付きから売りが先行した。ただ、債務上限問題を巡り、「共和、民主両党が折り合いデフォルト(債務不履行)には陥らない」との見方に加え、米経済指標が好調だったことから、景気に対する安心感が広がり、引けにかけて上昇した。

米連邦政府の債務上限引き上げについて野党・共和党のマッカーシー下院議長が18日、「合意に至る道筋がみえる」と述べ、来週にも下院で採決できるとの見通しを示した。関係者が協議を重ねており、6月にも米政府の資金繰り策が尽きて債務不履行(デフォルト)に陥る最悪の事態は避けられるとの見方が広がりつつある。

ダウ平均は200ドルあまり下げる場面もあった。ダラス連銀のローガン総裁が18日の講演で「ここ数週間の指標はまだ利上げ見送りが適切だとは示していない」と述べた。タカ派で知られるセントルイス連銀のブラード総裁も18日のインタビューで、「インフレ抑制を確実にするための保険としていくらかの追加利上げが正当化されるかもしれない」との見解を示した。FRBが利上げを続ける可能性が意識され、景気懸念につながった。

ダウ平均の構成銘柄では半導体のインテルが上昇。顧客情報管理のセールスフォースやソフトウエアのマイクロソフトなどハイテク株も買われた。18日発表の23年2〜4月期決算が市場予想以上で、通期の業績見通しを引き上げた小売りのウォルマートも高い。

一方、不動産やヘルスケア、生活必需品など業績が景気に左右されにくいディフェンシブ株は売られた。ダウ平均ではアナリストが投資判断を引き下げた日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が下落。医療保険のユナイテッドヘルス・グループも安い。

ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比188.272ポイント(1.5%)高の1万2688.838と2022年8月以来、およそ9カ月ぶりの高値で終えた。広告付きプランの利用者拡大が好感された動画配信のネットフリックスが大幅高だった。18日に日本の工場への5000億円の投資を発表した半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーなど半導体関連株の上昇も目立った。

 


【シカゴ日本株先物概況】

18日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比375円高の3万0905円で終えた。米債務上限問題への懸念が後退し、同日の米株式相場が上昇。投資家心理が強気に傾き、日経平均先物にも買いが波及した。

シカゴ日経225先物6月限 (円建て)

30905 ( +315 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
30925 ( +335 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7742.30(+19.07)

18日のFTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反発した。前日に比べ19.07ポイント(0.25%)高の7742.30で終えた。米連邦政府の債務上限問題を巡り、与野党で合意するとの期待が投資家心理を押し上げた。金融や資本財など景気敏感セクターの一角が上昇した。

個別では、小売り大手JDスポーツファッションが5.92%高で上昇率トップ。医療機器会社コンバテックが5.02%高、建機レンタルのアシュテッド・グループが3.35%高で続いた。一方、高級衣料のバーバリーは5.20%安、通信大手BTは5.00%安、オンライン食品販売大手オカド・グループは3.07%安だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16163.36(+212.06)

18日のドイツ株価指数(DAX)は続伸した。前日に比べ212.06ポイント(1.33%)高の1万6163.36と、2022年1月以来1年4カ月ぶりの高値で取引を終えた。米連邦政府の債務上限問題を巡り、与野党が合意できるとの楽観的な見方が広がった。17日の米株高や18日のアジア株高の流れを引き継ぎ、朝方から高値圏で推移した。自動車やテクノロジー、金融など幅広いセクターが上昇した。

個別では、コメルツ銀行が4.38%高と最も大きく上昇したほか、高級車メーカーのポルシェと半導体大手インフィニオンもそれぞれ4.06%高、3.95%高と買われた。半面、エネルギー大手イーオンは6.88%安、不動産大手ボノビアは5.32%安、ヘルスケアのフレゼニウスは1.85%安となった。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 7446.89(+47.45)

フランスCAC40種指数は0.64%高だった。
堅調な米経済指標も材料視され、小売りや自動車関連など景気敏感株を中心に買いが入った。

 

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