21日のNYダウ工業株30種平均は小幅に10日続伸し、前日比2ドル51セント高の3万5227ドル69セントで終えた。10日続伸は2017年8月以来の長さとなる。新たな取引材料に乏しいなか、米経済の先行きへの楽観が相場を支えた。一方、前日まで上昇が続いていた後で、主力銘柄には持ち高調整の売りが出やすかった。
取引開始前にクレジットカード大手アメリカン・エキスプレスが発表した4~6月期決算は増収増益だったが、売上高が市場予想を下回ったことが嫌気され、同社株は3.9%下落。ダウ全体の上げ幅をほぼ相殺する形となった。
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策会合や主要経済指標の発表を来週に控える中、市場では様子見姿勢が広がり積極的な取引が見送られた。
市場では、0.25%の利上げを決め、今の利上げサイクルでは最後になるとの見方が優勢となっている。
TD証券やモルガン・スタンレーなどエコノミストの間でも、7月会合の利上げでピークを迎えるとの予想が多い。米経済が底堅いなかで景気後退を回避できれば企業業績が悪化するリスクが下がり、相場上昇の材料となる。
ダウ平均構成銘柄では、製薬のメルクや飲料のコカ・コーラ、通信のベライゾン・コミュニケーションズといったディフェンシブ株が買われ、指数を支えた。映画・娯楽のウォルト・ディズニーも高かった。傘下のスポーツ専門放送局「ESPN」を巡り、米プロバスケットボール協会(NBA)や米プロフットボール(NFL)などと提携議があったとの報道が好感された。
一方、主力ハイテク株は下げが目立った。動画配信のネットフリックスや電気自動車のテスラは、前日に続き決算内容を嫌気した売りに押された。「他のハイテク企業決算でも業績が下振れするとの警戒もある」との見方があったほか、24日に実施されるナスダック100株価指数の構成比見直しをにらんだ売りが出た。ダウ平均の構成銘柄では、スマートフォンのアップルとソフトウエアのマイクロソフトが下落した。
金融のJPモルガン・チェースや航空機のボーイングが下げた。朝方発表の決算で売上高が市場予想に届かなかったクレジットカードのアメリカン・エキスプレスも安かった。
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比30.502ポイント(0.2%)安の1万4032.805で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズや半導体のエヌビディアが下げた。
米取引所のナスダックは24日から、時価総額加重平均型のナスダック100株価指数の「スペシャルリバランス」を実施する。特定銘柄の比率が高くなっていたことに対応する狙い。米報道では、「マグニフィセント・セブン(壮大な7銘柄)」と呼ばれる大型ハイテク株の構成比が現在の56%弱から44%程度に下がる。
【シカゴ日本株先物概況】
21日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比340円高の3万2670円で引けた。日銀が大規模な金融緩和を維持するとの報道を受け買いが入った。東京株式市場で日経平均株価が続落しており、買い戻しの動きもあった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32670 ( +400 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32715 ( +445 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
21日のFTSE100種総合株価指数は4日続伸した。前日に比べ17.68ポイント(0.23%)高の7663.73と、連日で5月23日以来約2カ月ぶりの高値で取引を終えた。中国当局が21日、自動車や電子機器の販売促進に向けた措置を発表した。同国政府による一段の景気刺激策への期待からエネルギーセクターが買われた。一方、週末を前に利益確定目的の売りも出やすく、上値は限定的だった。
FTSEの構成銘柄では、投資会社ハーグリーブス・ランズタウンが1.87%高と上昇。大衆医薬品のヘイリオンが1.49%高、建機レンタルのアシュテッド・グループは1.35%高とそれぞれ買われた。半面、広告会社WPPは4.21%安、保険大手プルデンシャルが2.98%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
21日のドイツ株価指数(DAX)は反落した。前日に比べ27.00ポイント(0.17%)安の1万6177.22で取引を終えた。ソフトウエアのSAPが前日比4%安となるなどテクノロジーセクターの下落が重荷だった。SAPが20日夕に発表した2023年4~6月期決算は、売上高が市場予想を下回った。23年12月期通期のクラウド売上高の見通しを下方修正したのも嫌気された。
個別では、厳しい収益見通しが重しとなり、業務用ソフトウエア大手SAPが4.19%安と下落。セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが1.65%安、高級車メーカーポルシェが1.11%安だった。一方、製薬会社サルトリアスは7.73%高と上昇率トップ。通販大手ザランドが2.82%高、医療大手メルクが2.41%高と続いた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.65%高(同0.85%高)だった。
6月の英小売売上高が市場予想を上回って伸びたことが寄与した。
