20日のダウ工業株30種平均は続落し、前日比76ドル85セント(0.2%)安の3万4440ドル88セントで終えた。
米連邦準備制度理事会(FRB)はこの日、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に政策金利を2会合ぶりに据え置くと発表。インフレ再燃リスクを警戒し、政策金利見通しで0.25%の追加利上げが「年内あと1回」との想定を維持した。
午後のFOMC結果公表が待たれる中、ダウは朝方から前日の反動もあり堅調な値動きを維持。だが、午後の金利見通しやパウエルFRB議長の記者会見で金融引き締め長期化が警戒され、じりじりと値を消し、マイナス圏に沈んで引けた。この日はハイテク株が特に売り込まれた一方、ヘルスケアなどディフェンシブ株は買われた。
市場では「会見がタカ派よりと受け止められた」との声があった。会見後に米長期金利が上昇に転じたのも株式の相対的な割高感につながった。
FOMC前は買いが優勢で、ダウ平均は260ドル近く上げる場面があった。20日発表の8月の英消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を下回った。グローバルなインフレへの警戒が和らぎ、米債券市場でも長期金利が低下する場面があった。米原油先物が一時、1バレル90ドルを下回り、原油価格の急激な上昇が一服したことも株式市場の投資家心理の支えとなった。原油先物は前日には93ドル台後半と、昨年11月以来の高値を付けていた。
ダウ平均では半導体のインテルやソフトウエアのマイクロソフト、スマートフォンのアップルなどの下げが目立った。一方、バイオ製薬のアムジェンや医療保険のユナイテッドヘルス・グループなど業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ株には買いが入った。アナリストが投資判断を「買い」としたIBMも高かった。
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比209.058ポイント(1.5%)安の1万3469.128で終えた。動画配信のネットフリックスやネット検索のアルファベットが売られた。
英半導体設計のアーム・ホールディングスが続落し、前日上場した食品宅配サービス「インスタカート」運営のメープルベアも大幅安だった。
【シカゴ日本株先物概況】
20日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比260円安の3万2795円で終えた。米連邦準備理事会(FRB)がこの日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受け、金融引き締めは長引くとの観測が強まった。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7731.65(+71.45)
20日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日に比べ71.45ポイント(0.93%)高の7731.65と、5月23日以来約4カ月ぶりの高値で取引を終えた。20日発表の8月の英消費者物価指数(CPI)上昇率が市場予想を下回り、イングランド銀行(英中央銀行)の利上げ終了が近いとの期待が広がった。21日に英中銀の金融政策委員会は当面の政策金利を発表するが、市場では据え置き予想がやや優勢となっている。
FTSEの構成銘柄では、住宅大手テイラー・ウィンペイが5.55%高、同業バラット・デベロップメンツが4.72%高、通信大手BTグループが4.34%高だった。
一方、段ボール大手スマーフィット・カッパは3.93%安、広告会社WPPは1.96%安、投資会社メルローズ・インダストリーズは1.80%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15781.59(+117.11)
20日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発した。前日に比べ117.11ポイント(0.74%)高の1万5781.59で取引を終えた。原油先物相場が下落していることに加え、20日発表のドイツの8月の生産者物価指数が大幅に下落した。英消費者物価指数(CPI)の伸びも鈍化するなど、インフレを過度に警戒する雰囲気が和らいだ。ドイツ長期金利が低下したのも株式相場の追い風となった。ヘルスケアや消費財、資本財など幅広いセクターが買われた。
個別では、医療機器のザルトリウスが4.62%高、香料大手シムライズが3.71%高、通販大手ザランドが3.34%高と買われた半面、防衛大手ラインメタルは0.96%安、保険大手アリアンツは0.84%安、ドイツ取引所は0.78%安で引けた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7330.79(+48.67)
フランスCAC40種指数は0.67%高だった。
欧州市場では、欧州債の利回り低下が好感された。
