18日のNYダウ工業株30種平均は続落した。前日比76ドル22セント安の2万1674ドル51セントと、7月25日以来ほぼ4週ぶりの安値で終えた。
トランプ大統領の発言を巡る問題で、米政権運営への先行き不透明感からアジア・欧州株が概ね全面安となり、米国株も売りが先行した。バルセロナで発生したテロ事件による地政学リスクへの警戒感も重なり、軟調推移となった。当初から極右思想で批判を集めていたバノン主席戦略官の更迭が発表され、トランプ政権への懸念がやや後退すると、前日に3カ月ぶりの下げ幅となったため短期的な相場の戻りに期待した買いもみられ、下げ幅を縮小したが、相場を押し上げるには至らなかった。
白人至上主義団体と反対派の衝突を巡り、トランプ米大統領が「双方に非がある」と15日に発言したことに対する批判が高まっている。「投資家は減税対策とインフラ投資に期待してきたが政策実現が難しいとの見方が広がった」という。米政権の求心力の低下による先行き不透明感を嫌気した売りが続いた。
18日朝に発表した2017年5~7月期決算で1株利益と売上高が市場予想に届かなかったスポーツ用品販売のフットロッカーが急落した。売りはスポーツ用品のナイキなどにも波及。四半期決算が減収となったIT機器のシスコシステムズへの売りも続き2銘柄でダウ平均を21ドルあまり押し下げた。
米ミシガン大学が18日に発表した8月の米消費者態度指数(速報値)は97.6と市場予想(94.5)を上回って上昇し、投資家心理を改善させた面もあった。前日大幅安だった反動で、買いが入りやすかったことも指数を下支えした。
ナスダック総合株価指数も続落した。前日比5.387ポイント安の6216.527で終えた。アマゾン・ドット・コムやシスコシステムズなどへの売りが続き、相場の重荷となった。前日に発表した四半期決算が増収増益で市場予想を上回る業績見通しを示した半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(AMAT)など、半導体関連銘柄が買われたため下げ幅は限られた。
セクター別では、公益事業や家庭用品・パーソナル用品が上昇する一方で耐久消費財・アパレルや食品・生活必需品小売が下落した。
農業機械のディア(DE)は米国・カナダでの農機販売が減少するとの見通しを示し、軟調推移となった。スポーツ用品小売りのフットロッカーの急落を受けスポーツ用品のアンダー・アーマー(UA)などにも売りが広がった。売上高が市場予想を下回った農機・建機のディアにも売りが膨らんだ。
一方、売上高が市場予想以上に増えた衣料専門店のロス・ストアーズ(ROST)が大幅高だった。4~6月期決算で売上高と1株利益が市場予想を上回った化粧品のエスティ・ローダーも買われた。
NYダウ工業株30種(ドル)
21,674.51-76.22
S&P500種
2,425.55-4.46
ナスダック
6,216.527-5.387
米10年債利回り2.196 ( +0.012 )
円・ドル
109.21 – 109.22 -0.71
NY(WTI)原油 48.51 ( +1.42 )
NY金 1291.6 ( -0.8 )
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は3日続落した。9月物は前日比35円安の1万9445円で終え、大阪取引所の終値を5円上回った。
トランプ米政権の先行き懸念を背景にした円高進行と米株式相場の続落が嫌気された。ただ、トランプ米大統領の側近で極右とみられるバノン首席戦略官・上級顧問の更迭が発表され、政権の先行き懸念が薄れ買われる場面もあった。9月物の安値は1万9315円、高値は1万9540円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
19445 ( +5 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
19455 ( +15 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は続落した。前日終値に比べ63.89ポイント安の7323.98で引けた。世界的に株安傾向となる中、幅広い銘柄が売られ、構成銘柄の9割が下落した。トランプ米政権の先行き不透明感が相場の重荷となる中、前日夕に発生したスペインのテロ事件も投資家心理を冷やした。投資家のリスク回避姿勢が強まり、週末を控えて運用リスクを圧縮する動きが広がった。
テロ事件の影響が懸念され航空株や旅行関連株が下落した。スペインのイベリア航空を傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループが安かったほか、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループや旅行のTUIなども下げた。
半面、金価格の上昇を背景に関連のランドゴールド・リソーシズが買われた。害虫駆除のレントキル・イニシャルと製紙のモンディ、RSAインシュアランス・グループも上げた。いずれもアナリストが株式評価を引き上げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前日比38.27ポイント安の12165.19だった。世界的に株安傾向となる中、構成銘柄の約8割が下落した。
医薬・化学大手のメルクや医療機器のフレゼニウスが安かった。一方、ミュンヘン再保険が高かった。電力株も上げた。午前は売られていた航空のルフトハンザは買い戻された。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5121.67 +60.76
