ダウ続落638ドル安、米CPI発表控え売り加速

9日のNYダウ工業株30種平均は大幅に続落し、前日比638ドル11セント(1.9%)安の3万2272ドル79セントで終えた。

欧州中央銀行(ECB)がこの日、次回会合で利上げに踏み切る方針を表明。世界的な金融引き締めへの警戒感が広がり、ダウは朝方から弱含みの展開を維持した。
高止まりが続く原油相場の上げ一服が支援材料になったものの、10日朝に明らかになる注目の米消費者物価指数(CPI)が上振れし、米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利上げを進pめ、景気が悪化することへの懸念が台頭。取引終盤に売りが膨らみ、ダウは下げ足を速めた。

ECBは声明で「インフレ率が中期的に目標の2%に戻るようにする」と言明した。今後の政策については9月も利上げを続ける方針を示し、インフレ次第では利上げ幅が通常の倍の0.5%になる可能性を示唆した。ECBの発表を受け、欧州の主要国債利回りは軒並み上昇(債券価格は下落)し、ドイツ株価指数(DAX)など主要国の株価指数は総じて下落した。

米長期金利も一時3.07%(8日終値は3.02%)と1カ月ぶりの高水準を付けた。金利上昇で相対的な割高感が意識されやすいハイテク株が売られ、スマートフォンのアップルが4%、ソフトウエアのマイクロソフトは2%、それぞれ下げた。世界景気の先行き不透明感から航空機のボーイングや建機のキャタピラーなど景気敏感株も売られた。映画・娯楽のウォルト・ディズニーやクレジットカードのビザといった消費関連株も安い。

市場は10日に発表される5月のCPIに注目している。総合指数は前年同月比では伸び率が横ばいとなる半面、物価の基調をはかる上で重視される前月比では加速が見込まれている。足元のエネルギー高などを背景に市場予想からの上振れを想定するエコノミストも多く、結果次第では米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めペースの加速を示唆する可能性がある。取引終了にかけては発表前にヘッジ目的の売りも膨らんだようだ。

ダウ平均はチャート上で25日移動平均を下回り、下げが加速した面もあった。最近2週間は同移動平均が下値支持となっていたが、下回ったのを受け見切り売りが出た可能性がある。

ナスダック総合株価指数は続落し、前日比332.045ポイント(2.7%)安の1万1754.226で終えた。高PER(株価収益率)銘柄の割高感が意識され、ネット通販のアマゾン・ドット・コムや動画配信のネットフリックスが大幅安となった。

 


【シカゴ日本株先物概況】

9日のシカゴ日経平均先物は続落した。6月物は前日比180円安の2万7970円で引け、9日の大取終値を330円下回った。

欧州中央銀行(ECB)が9日の理事会で7月に量的金融緩和を終了し、政策金利を引き上げる方針を示したため、世界景気の減速懸念が広がった。日経平均先物は米株とともに売りが強まった。

シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
27910 ( -320 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
27975 ( -255 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

9日のFTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日に比べ116.79ポイント(1.54%)安の7476.21で引けた。欧州中央銀行(ECB)が9日の理事会で7月に利上げを開始する方針を発表した。金融引き締めと高インフレによる経済成長への悪影響が懸念され、ドイツなどユーロ圏諸国の主要株価指数が下落し、英国株にも売りが波及した。個別銘柄を見ると、英小売大手セインズベリーが5.8%の大幅安。英広告大手WPPも4.5%安と売られた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

9日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落した。前日に比べ247.19ポイント(1.71%)安の1万4198.80で終えた。欧州中央銀行(ECB)が9日の理事会で、7月に利上げを開始する方針を発表した。
9月会合では通常の倍の0.50%の利上げを実施する可能性を示唆するなど、市場では金融引き締めに積極的なタカ派と受け止められた。金融政策の正常化が加速するとの見方から欧州経済の減速を懸念した売りが出た。
DAXでは欧州航空機大手エアバスが2.7%安と軟調だった。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は1.40%安となった。
欧州中央銀行(ECB)が量的緩和策の終了を決め、7月の利上げを表明した。これを背景に主要中銀の金融引き締めに懸念が広がり、株式相場を圧迫する要因となった。
CACでは仏複合企業LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が2.3%安とさえなかった。

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