9日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比543ドル54セント(1.7%)安の3万2254ドル86セントで終えた。
昨年11月上旬以来およそ4カ月ぶり安値。
米労働省が午前に発表した週間の新規失業保険申請件数は、前週比2万1000件増の21万1000件だった。市場予想の19万5000件を上回った。インフレ率を押し上げている労働市場の逼迫(ひっぱく)が緩和したと受け止められ、ダウ平均は上昇して取引が始まった。
FRBのパウエル議長は、前日までの議会証言で、政策金利の到達点が「従来の想定よりも高くなる」と明言。利上げ幅の拡大も示唆した。利上げ長期化や加速への懸念が強く、ダウ平均は徐々に上げ幅が減り、マイナスに転じた。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げ再加速への懸念が高まるなか、10日には2月の米雇用統計の発表を控える。予想を上回る内容への警戒から、株売りが出た。一部地銀株が急落し、金融株を中心に相場の重荷となった面がある。
ダウ・ジョーンズ通信が集計した2月の雇用統計の市場予想は、非農業部門の雇用者数の増加幅が前月比22万5000人、失業率が3.4%となっている。市場予想並みの結果でも、次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが0.5%利上げを決める方向に傾くとの見方もあり、株式の持ち高を減らす動きが出やすかった。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、8日に大規模な資金調達を発表した金融のSVBファイナンシャル・グループが急落した。傘下銀行の清算を決めたシルバーゲート・キャピタルも大幅安となり、大手銀や地銀を中心に金融株が全面安となり、投資家心理を冷やした。
金融のJPモルガン・チェースやドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス、建機のキャタピラーの下げが大きかった。ダウ平均の構成銘柄では、半導体のインテルだけが上昇した。
ナスダック総合株価指数は反落した。前日比237.650ポイント(2.1%)安の1万1338.355で終えた。電気自動車のテスラ、半導体のエヌビディアが下げた。
【シカゴ日本株先物概況】
9日のシカゴ日経平均先物は下落した。中心限月である6月物は前日比365円安い2万8000円で引けた。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ長期化への懸念が重荷となり、続落した。米株安を背景に日経平均先物にも売りが波及した。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
28000 ( -370 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28070 ( -300 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7879.98(-49.94)
9日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日に比べ49.94ポイント(0.63%)安の7879.98で取引を終えた。9日発表の2月の中国物価統計が市場予想を下回り、同国景気の回復ペースの鈍さに対する警戒感が強まった。中国需要に業績が左右されやすい資源株に売りが出た。銀行株やエネルギー株など景気に敏感な銘柄も売られた。
構成銘柄の6割強が下落。個別では、蒸気システム大手スパイラックス・サーコが5.1%安と最も大きく売られ、医療機器大手スミス・アンド・ネフューが4.8%安、資源大手リオ・ティントが4.5%安で続いた。一方、保険大手アビバは2.7%高、ビジネス情報会社インフォーマは2.6%高、航空・防衛大手BAEシステムズは2.2%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15633.21(+1.34)
9日のドイツ株価指数(DAX)はわずかながら続伸した。前日に比べ1.34ポイント(0.01%)高の1万5633.21で終えた。欧米中央銀行の金融引き締め長期化懸念から朝方は売りが先行した。ただ、独長期金利が上昇幅を縮めるなか、引けにかけて持ち直した。資本財株の一角やハイテク株が買われた。
個別では、不動産大手ボノビアが5.1%安、ハノーバー再保険が3.4%安、通販大手ザランドが2.8%安。半面、スポーツ用品大手アディダスは3.0%高、医療機器のザルトリウスは2.0%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーは1.9%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7315.88(-8.88)
フランスCAC40種指数は0.12%安だった。米利上げペースが再加速することへの警戒感が相場の重しとなった。
