堅調な米経済指標も相場の押し下げ要因となった。米商務省が15日発表した10月の小売売上高は前月比0.4%増と予想を超過。利下げペースが鈍るとの見方に拍車をかけた。
トランプ次期大統領が掲げる経済政策を織り込んで関連銘柄を取引する「トランプ・トレード」も勢いが失速気味だ。短期間で相場が急騰しただけに高値警戒感から利益確定売りも出ている。
堅調な経済指標を受け、米長期金利は一時4.50%と6月上旬以来の高水準を付けた。米国の次期政権による関税引き上げなどの政策がインフレ圧力を高め、金利が高止まりするとの観測も根強かった。株式の相対的な割高感が意識され、高PER(株価収益率)銘柄を中心に売りが出た。5日投開票の大統領選後に米主要3株価指数は大きく上昇した後で、主力株に利益確定や持ち高調整の売りが広がった。
製薬株の下げも目立った。トランプ次期米大統領が14日、厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏を起用すると発表した。同氏は新型コロナウイルスのワクチンに懐疑的な立場で注目を集めた経緯があり、事業環境を巡る不透明感が意識された。アムジェンが4%安となったほか、ダウ平均の構成銘柄以外ではモデルナやファイザー、イーライ・リリーなどが大幅に下げた。
個別銘柄ではアマゾン・ドット・コムが4%安となり、エヌビディアやマイクロソフトの下げも目立った。シャーウィン・ウィリアムズやマクドナルドなども安い。一方、ウォルト・ディズニーは14日に発表した決算や見通しを好感した買いが続き、5%高となった。
ナスダック総合株価指数は大幅に4日続落した。前日比427.530ポイント(2.23%)安の1万8680.121で終えた。メタプラットフォームズが約4%下げ、アルファベットも売られた。半導体製造装置のアプライドマテリアルズが9%安となった。前日夕に四半期決算と同時に示した2024年11月〜25年1月期の見通しが慎重と受け止められた。同業のラムリサーチやKLAにも売りが波及した。
半導体関連株が軒並み下げ、主要な半導体関連株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3%下落した。
【シカゴ日本株先物概況】
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
15日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに小幅に反落し、前日比7.58ポイント(0.09%)安の8063.61で終えた。英アストラゼネカとGSKという時価総額の規模が大きい製薬2銘柄が下げ、指数の重荷となった。
アストラゼネカなどの下落は、米国のトランプ次期大統領が厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏を起用すると発表したことが材料になったとの見方があった。ケネディ氏は新型コロナウイルスのワクチンに懐疑的な立場をとっていたことで知られる。情報サービスのRELXといった商業・専門サービス関連も売りが優勢だった。銀行やエネルギー株の上昇は、指数を下支えした。
FTSEの構成銘柄では、小売り大手B&Mヨーロピアン・バリュー・リテールが5.12%安、製薬大手GSKが3.88%安、特殊化学品大手クローダ・インターナショナルが3.21%安と下げを主導。一方、商業用不動産大手ランド・セキュリティーズは4.31%高、格安航空大手イージージェットは3.75%高、産金大手フレスニロは3.02%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
■フランス・パリ株価指数
