4日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比21ドル42セント(0.1%)安の3万5089ドル74セントで終えた。
朝方発表の1月の米雇用統計を受けて米金融政策の早期の正常化観測が高まった。金融引き締めが景気を冷やすとの警戒感から景気敏感株の一角に売りが膨らんだ。半面、3日夕に四半期決算を発表したネット通販のアマゾン・ドット・コムの急伸を受け、ハイテク株には買い直しの動きがみられた。
米労働省がこの日発表した1月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比46万7000人増。前月(51万人増)から伸びは鈍化したものの、市場予想(15万人増)を大きく上回った。また、平均時給は前年同月比5.7%増と、予想(5.2%増)を上回った。
これを受け、市場ではインフレ高進の長期化への警戒感が広がり、米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを進めるとの観測が台頭。株式相場は寄り付き後、軟調だったが、午後にプラス圏に浮上した。
ただ、取引終了直前に再びマイナス圏に沈んだ。予想を上回る雇用統計を眺め、米債券市場では長期金利の指標である10年物米国債利回りが1.90%台に大幅上昇。利ざや改善が見込める金融株には支援材料となった
利ざや拡大を見込み金融のJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスが買われた。
一方、アマゾンの2021年10~12月期決算は大幅増益となり、株価は一時、前日比16%高となった。決算発表後の交流サイトのメタプラットフォームズ(旧フェイスブック)の急落を受けて、3日に大きく売られていたハイテク株全般に買い直しが広がった。ダウ平均の構成銘柄では、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムやソフトウエアのマイクロソフトが上げている。
ダウ平均は、午前中安く推移し、下げ幅は300ドルを超える場面もあった。金融引き締めが米経済を冷やすとの警戒感から工業製品・事務用品のスリーエム(3M)や建機のキャタピラーなど景気敏感株の一角には売りが出ている。
ナスダック総合株価指数は反発し、前日比295.547ポイント高の1万4174.365で推移している。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,089.74-21.42
S&P500種
4,500.53+23.09
ナスダック
14,098.007+219.189
FTウィルシャー5000
45,851.45+307.71
NY金(ドル/トロイオンス)
1,807.80+3.70
NY原油(ドル/バレル)
91.92+1.65
円・ドル
115.18 – 115.20+0.60
【シカゴ日本株先物概況】
4日のシカゴ日経平均先物は反発した。3月物は前日比345円高の2万7290円で引け、4日の大取終値を120円下回った。4日の米株式市場では
1月雇用統計の予想外に強い結果を受けて、年内の利上げ観測が一段と強まり、金利の上昇が嫌気され、寄り付き後下落。同時に、雇用の改善で消費拡大期待も強まりダウは一時上昇に転じるも引けにかけては再び失速した。一方で、ネット通販のアマゾン・ドット・コムの好決算を手掛かりにハイテク株が上昇し、日経平均先物に買いが入った。一方で4日発表の1月の米雇用統計を受け長期金利が上昇し、上値を押さえた。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
27290 ( -120 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
27310 ( -100 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
4日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ12.44ポイント(0.17%)安の7516.40で引けた。イングランド銀行(英中央銀行)の今後の金融引き締めを警戒する売りが優勢だった。金融や資本財、公益株が売られ指数を押し下げた。一方、原油相場の上昇で石油株が買われた。FTSEは指数構成銘柄の7割超が下落した。
個別銘柄を見ると、英金融大手のロイズ・バンキング・グループ(3.6%安)、バークレイズ(1.9%安)などの銀行株が総じて軟調。半面、原油高を受けて石油大手シェル(3.9%高)、同BP(3.4%高)が締まった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
4日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落し、前日比268.91ポイント(1.75%)安の1万5099.56で終えた。金利急上昇を懸念した売りが優勢だった。素材や不動産、自動車など幅広い銘柄に売りが出た。DAXでは、産業ガス大手リンデが5.1%安、自動車大手BMWも4.4%安とさえなかった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)6,951.38 -54.25
フランスCAC40種指数は0.77%安となった。
