ダウ続落179ドル安、ウクライナ情勢に警戒感

4日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比179ドル86セント安の3万3614ドル80セントで終えた。ウクライナ情勢の緊迫化への懸念から投資家のリスク回避姿勢が強まり、景気敏感や消費関連株への売りが目立った。半面、ディフェンシブ株への買いが目立ち、ダウ平均を下支えした。
 
ロシア軍は4日、ウクライナ南東部にある欧州最大規模のザポロジエ原子力発電所を制圧した。原発ではウクライナ部隊との交戦で火災が発生。原子炉に被害はなく、放射線量の変化もないが、爆発すれば大惨事となっていた可能性がある。原発攻撃は投資家心理を圧迫し、世界的な株安につながった。
 
航空機のボーイングが4%下げ、1銘柄でダウ平均を52ドル程度押し下げた。欧米によるロシアへの経済制裁が航空機需要の減少につながるとの懸念から連日で大幅安となった。化学のダウや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)など景気敏感株が安い。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど消費関連株も下げた。
 
投資家のリスク回避姿勢の高まりで相対的に安全な資産とされる米国債が買われ、米長期金利は一時1.69%と前日終値(1.84%)から大きく低下した。利ざや縮小への懸念を誘い、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど金融株も売られた。
 
ダウ平均の下げ幅は午前中に540ドルに達したが、ディフェンシブ株への買いが支えとなり午後に下げ幅を縮めた。小売りのウォルマートやドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス、医療保険のユナイテッドヘルス・グループがそれぞれ2%超上げた。
 
 一方、米労働省が朝方発表した2月の雇用統計によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比67万8000人増。伸びは前月(48万1000人増)から拡大し、市場予想(40万人増)を大幅に上回った。失業率も3.8%(前月4.0%)に改善したが、ウクライナ情勢をめぐる警戒感が強く、株価への影響は限定的だった。
 
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比224.503ポイント(1.7%)安の1万3313.438で終えた。ソフトウエアのマイクロソフトが2%下落。スマートフォンのアップルなど主力ハイテク株が軒並み下げた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
33,614.80-179.86
S&P500種
4,328.87-34.62
ナスダック
13,313.438-224.503
FTウィルシャー5000
44,208.87-421.28
NY金(ドル/トロイオンス)
1,966.60+30.70
NY原油(ドル/バレル)
115.00+7.33
円・ドル
114.85 – 114.87-0.87
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

4日のシカゴ日経平均先物は続落した。3月物は前日比500円安の2万5870円で引け、4日の大取終値を230円下回った。
NYダウは、ロシアがウクライナ、欧州で最大の原発を制圧したことを警戒したアジアや欧州市場の流れを継いで寄り付き後下落。その後、2月雇用統計の予想以上に強い結果を受けて、下げ幅を縮小。しかし、ウクライナ戦争激化への懸念を拭えず終日軟調に推移した。
 
 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
25870 ( -230 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
25870 ( -230 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

4日のFTSE100種総合株価指数は大幅に続落した。前日に比べ251.71ポイント(3.48%)安の6987.14と約5カ月ぶりの安値で引けたFTSEは指数構成銘柄の9割超が下落した。
ロシアがウクライナ南部にある原子力発電所を制圧した。ロシアによる原発攻撃で、偶発的なリスク発生への警戒感が強まり、投資家心理が冷え込んだ。銀行やエネルギーなど幅広い業種に売りが出た。
個別では、英高級衣料バーバリーが8.4%の大幅安。英金融大手バークレイズも7.2%安とさえなかった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

4日のドイツ株価指数(DAX)は大幅に続落し、前日比603.86ポイント(4.41%)安の1万3094.54と、約1年4カ月ぶりの安値で終えた。ロシアがウクライナ南部の原子力発電所を制圧した。ロシアの原発攻撃が一段の事態悪化につながりかねないとの警戒感から、株式の持ち高を減らす動きが強まった。欧米の厳しい対ロ経済制裁によるエネルギー高やビジネス混乱への懸念も強く、幅広い銘柄に売りが出た。ドイツ銀行が9.4%安と急落した。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は4.97%安となった。 
ロシアがウクライナ南東部の原子力発電所を攻撃し、火災が発生したことをきっかけに投資家心理が急激に悪化した。
個別では、フランス複合企業LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が6.4%安と軟調だった。

 

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