11日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前週末比164ドル31セント（0.5%）安の3万1173ドル84セントで終えた。
米国で記録的な物価高が続く中、市場は13日に発表される6月の消費者物価指数（CPI）を注視。また、金融大手などを筆頭に、米企業の4～6月期決算発表が今週から始まる。これらを控えた警戒感から、ダウ平均はほぼ終日マイナス圏で推移した。
米連邦準備制度理事会（FRB）がインフレ抑制のために急速に利上げを進めることで、米国が景気後退に陥るとの懸念が市場では根強い。前週8日に発表された6月の米雇用統計が堅調だったため、FRBが大幅利上げを続けるとの見方が投資家の間で改めて強まるとともに、景気後退をめぐる懸念も高まった。
また、中国の新型コロナウイルスの感染再拡大による行動規制の強化が投資家心理を冷やした。ロシアから欧州への天然ガス供給の停止が欧州景気の減速を招くとの観測も相場の重荷となった。幅広い銘柄に売りが膨らみ、ダウ平均は取引終了にかけ下げ幅を広げた。
中国・上海市では新型コロナの感染拡大の防止を目的に一部地区で屋内運動施設の利用を停止した。中国の特別行政区のマカオでは11～17日の1週間、生活維持に必要な分野を除き、企業活動を停止し、市民には自宅待機を求めた。防疫措置の強化が中国の景気や供給網に悪影響を及ぼすとの警戒が強まった。
欧州ではロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプラインが定期検査で供給が止まり、検査終了後も供給停止を続ける可能性が意識されている。欧州のエネルギー価格高騰につながり、同地域の景気を冷やすとの見方が多い。
経済協力開発機構（OECD）が11日に発表した6月の景気先行指数は世界経済の減速が一段と進んでいることを示した。「世界の景気後退入りを懸念させる水準まで低下した」（エバコアISI）といい、市場心理の悪化につながった。
中国売上高が大きいスマートフォンのアップルやスポーツ用品のナイキが売られた。建機のキャタピラーや航空機のボーイングなど景気敏感株も安い。米長期金利の低下で利ざや縮小の観測からJPモルガン・チェースなど金融株も下げた。
半面、製薬のメルクや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル（P&G）など業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ株の一角は高い。
ナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落し、前週末比262.709ポイント（2.3%）安の1万1372.599で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムと電気自動車のテスラが下げた。エヌビディアなど半導体関連株の下落も目立った。起業家のイーロン・マスク氏が、買収提案を撤回したSNS（交流サイト）のツイッターは11%安で終えた。
NYダウ工業株30種（ドル）
31,173.84－164.31
S&P500種
3,854.43－44.95
ナスダック
11,372.599－262.709
FTウィルシャー5000
39,085.97－501.29
NY金（ドル/トロイオンス）
1,731.70－10.60
NY原油（ドル/バレル）
103.03－1.06
円・ドル
137.34 – 137.36＋0.54
【シカゴ日本株先物概況】
11日のシカゴ日経平均先物は反落した。9月物は前週末比190円安の2万6585円で引け、11日の大取終値を65円下回った。欧州や中国の景気悪化への懸念が広がり、日経平均先物は米株とともに売られた。ロシアから欧州への天然ガス供給の停止が警戒された。
中国の特別行政区マカオが新型コロナウイルスの感染拡大を受け都市封鎖（ロックダウン）に入ったことも投資家心理を冷やした。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
26585 ( -65 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
26625 ( -25 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7196．59（＋0．35）
11日のFTSE100種総合株価指数は横ばい。前週末に比べ0.35ポイント（0.00%）高の7196.59で引けた。英経済の先行き悪化懸念が強い中、医薬品株や公益事業株などディフェンシブ株に買いが入った。半面、中国では新型コロナウイルスの感染再拡大で防疫措置が強化されており、需要低迷を懸念して資源株やエネルギー株に売りが出た。
FTSEでは、指数構成銘柄の約6割が下落したものの、エネルギー小売大手セントリカ（3．4％高）など公益事業株が堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12832．44（－182．79）
11日のドイツ株価指数（DAX）は4営業日ぶりに反落した。前週末に比べ182.79ポイント（1.40%）安の1万2832.44で終えた。DAXでは、ロシア産天然ガスをドイツに運ぶパイプライン「ノルドストリーム」が定期点検のため停止したのを機に、供給懸念が高まったことも嫌気された。ダイムラー・トラック（5．0％安）など自動車株が売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5996．30（－36．83）
フランスCAC40種指数は0．61％安だった。
中国での新型コロナウイルスの拡大により、景気減速への懸念が高まった。
