ダウ続落し68ドル安、長期金利上昇

 

27日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比68ドル61セント(0.20%)安の3万3550ドル27セントで終えた。米長期金利が一段と上昇し、株式相場の重荷となった。米予算審議の難航に伴い政府機関が一部閉鎖に追い込まれるリスクや、全米自動車労組(UAW)によるストライキも市場の心理を冷やし、下げ幅は一時300ドルを超えた。

金利の上昇が一服すると、株式への売りも一巡。ダウ平均は次第に下げ幅を縮めた。

米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測は根強い。朝方発表の8月の米耐久財受注額は前月比で減少を見込んでいた市場予想に反して増加し、米経済が底堅いとの見方を誘った。

石油の世界的な需給逼迫(ひっぱく)懸念を背景に、原油先物相場は一時1バレル=94ドル台に上昇。原油高に伴うインフレ再燃の観測が浮上し、米長期金利が4.6%台に跳ね上がった。市場関係者は「雇用もそれなりに強い上、原油先物相場も高止まりしているため、長期金利は下がりにくい」指摘する。

金利上昇でドルが主要通貨に対して上昇している。ドル高で米企業の海外事業の収益が目減りするとの観測も、株売りを誘った。米議会の予算協議が難航し、新しい会計年度が始まる10月1日までに予算案が成立しないリスクがくすぶっていることが投資家心理に影響したとの見方もある。半面、「現時点では株式市場とあまり関係がない」との声も聞かれた。

引けにかけては米長期金利の上昇が一服。金利の上昇を嫌気して売られていたハイテク株を中心に買い直す動きが広がった。

朝方は買いが先行していた。27日朝の米債券市場で長期金利が前日終値をやや下回る水準で推移しており、株式の相対的な割高感が薄れたとみた買いが入っていた。

個別では、医薬品・医療機器のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)や金融のゴールドマン・サックス、スマートフォンのアップルが下落した。スポーツ用品のナイキや映画・娯楽のウォルト・ディズニーも安かった。一方、原油など資源高を背景に石油のシェブロンや建機のキャタピラーは上昇。ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースも買われた。

ナスダック総合株価指数は反発した。前日比29.239ポイント(0.22%)高の1万3092.849で終えた。画像処理半導体のエヌビディアやネット検索のアルファベットなどが高かった。半面、アナリストからの目標株価引き下げを受けた電気自動車(EV)のテスラは売られた。

 


【シカゴ日本株先物概況】

27日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比230円高の3万2100円で終えた。
米長期金利の上昇が嫌気され、ダウ工業株30種平均は下落したが、日本株が上昇した流れを引き継いだ。

シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
32100 ( -50 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
32140 ( -10 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7593.22(-32.50)

27日のFTSE100種総合株価指数は反落し、前日に比べ32.50ポイント(0.42%)安の7593.22で終えた。欧米の金利上昇で、株式の相対的な割高感が意識されたのが重荷となった。業種別では公益や飲食料品、医薬関連などの下げが目立った。半面、原油先物相場の上昇を背景にエネルギー関連が買われ、指数を下支えした。

FTSEの構成銘柄では、オンライン食品販売大手オカド・グループが9.77%安と下落率トップ。エネルギー小売り大手セントリカが5.06%安、商業用不動産大手ランド・セキュリティーズが4.30%安と続いた。エンジニアリング大手アイ・エム・アイは5.14%高、石油大手BPは1.43%高だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15217.45(-38.42)

27日のドイツ株価指数(DAX)は5日続落し、前日比38.42ポイント(0.25%)安の1万5217.45で終えた。3月下旬以来、約半年ぶりの低い水準となる。医療機器のフレゼニウスや、「ニベア」ブランドを手掛ける化粧品メーカーのバイヤスドルフなどの下げが目立った。欧米の金利上昇が重荷となったほか、欧州の景気減速も意識された。

欧州主要600社の株価指数であるストックス600も5日続落し、約半年ぶりの低水準で引けた。一部金融機関による投資判断の引き下げを材料に、英ランド・セキュリティーズなど不動産関連の銘柄に売りが出たのも同指数を押し下げる一因となった。

個別では、ヘルスケアのフレゼニウス(3.59%安)、商用車大手ダイムラー・トラック(2.59%安)、通販大手ザランド(2.53%安)と売られた一方、総合電機大手シーメンス(3.29%高)やドイツ銀行(2.42%高)が買われた。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 7071.79(-2.23)

フランスCAC40種指数は0.03%安だった。金融引き締め長期化や中国の不動産市場低迷に対する懸念も根強く、市場のセンチメントを下げた。

 

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