21日のNYダウ工業株30種平均は米中貿易協議の先行き不透明感から様子見姿勢が強まり、3日続落し、前日比54ドル80セント安の2万7766ドル29セントで終えた。
ロイター通信は20日、米政権関係者の話として米中貿易協議「第1段階」の合意署名が来年にずれ込む可能性があると報じた。さらに同日には米議会で香港の自治と人権の擁護を求める「香港人権・民主主義法案」が通過。トランプ大統領は法案に署名する見通しとも伝わり、貿易協議の進展期待が後退する中、積極的な売買が手控えられる中、過去最高値圏とあって売りが優勢となった。21日のダウは一時110ドル超下落した。
一方、交渉の進展を期待する買いも入り、相場の下値は堅かった。香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は21日、中国との交渉継続を念頭に「米政府は12月に予定する対中追加関税の第4弾の発動を見送る」と報道した。
投資家は米中協議が停滞感を強めていることにいら立ちを募らせている。ただ、「米中両国とも経済への打撃は大きいため第4弾発動は最終的に回避されるとの期待感もあり、株価は大きく売り込まれる展開ではない。当面は様子見を続けるほかない」との声が聞かれた。
セクター別では、エネルギーや電気通信サービスが上昇する一方で不動産や家庭用品・パーソナル用品が下落した。
ナスダック総合株価指数は小幅に続落し、前日比20.521ポイント
安の8506.211で終えた。このところ上昇の勢いが強かった半導体銘柄の下げがきつかった。アップルやアマゾン・ドット・コムなど主力株の下落も指数を押し下げた。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,766.29-54.80
S&P500種
3,103.54-4.92
ナスダック
8,506.211-20.521
NY金(ドル/トロイオンス)
1,463.60-10.60
NY原油(ドル/バレル)
58.33+1.32
円・ドル
108.60 – 108.61+0.03
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は3日続落した。
12月物は前日比55円安の2万3080円で引け、21日の大取終値を30円上回った。
米中貿易協議の先行き警戒感から売りが優勢になった。
米議会が可決した香港の民主主義を支援する「香港人権・民主主義法案」にトランプ米大統領が署名するとの見方が広がった。中国は同法案に強く反発しており、法案成立は米中関係の悪化を招くとみられている。市場には同協議の先行きを見極めたいと慎重な向きが多い。
この日の12月物安値は2万2720円、高値は2万3155円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
23080 ( +30 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
23090 ( +40 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7238.55(-23.94)
FTSE100種総合株価指数は続落した。前日の終値に比べ23.94ポイント安の7238.55で引けた。構成銘柄の約7割が下落した。
香港をめぐる米中対立が両国間の貿易協議の早期部分合意を妨げると懸念され、売りが広がった。午後には下げ幅が縮まった。金融と鉱業株の下落が株価指数の下げに大きく影響した。
個別銘柄では、鉱業・化学のジョンソン・マッセイは上期の税引き前利益が縮小したことが嫌気され、7%安となった。水道のセバーン・トレントも上期の減益を発表し売られた。配当権利落ちでたばこのインペリアル・ブランズとビジネスサポートのDCC、クルーズ運航のカーニバルも下がった。前日に売られた総合保険のアヴィヴァは、アナリストが投資判断を引き下げたことを受けてこの日も下落した。
半面、ガス供給・販売のセントリカは通期の業績目標を達成しそうだとの見通しを示し、9%超上がった。ブリティッシュ・アメリカン・タバコも3.9%高と大幅高だった。米当局がたばこのニコチン含有量を大幅に減らすよう義務付ける計画を取り下げたことが手掛かりとなった。医薬品株も上がった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13137.70(-20.44)
ドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前日と比べて20.44ポイント安の13137.70だった。
香港をめぐる米中対立で両国の貿易協議の合意が先送りされるとの観測から、欧州各国相場はそろって下落した。午後には各国とも下げ幅が縮まった。
個別では、航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズと半導体のインフィニオンテクノロジーズが売られた。一方、自動車のダイムラーとドイツ銀行は上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5881.21(-12.82)
