ダウ続落し36ドル安 北朝鮮リスク警戒、ディズニーの下げも影響

9日の米株式相場は続落した。ダウ工業株30種平均は前日比36ドル64セント安の2万2048ドル70セントで終えた。
北朝鮮情勢を巡る地政学リスクへの警戒感からアジア・欧州株が概ね全面安となり、米国株にも売りが先行。複数の主要企業の決算内容も嫌気され、終日軟調推移となった
収益の先行きへの懸念からウォルト・ディズニー(DIS)が売られたのもダウ平均を下押しした。
 
前日にはトランプ米大統領が「北朝鮮には世界がみたこともない炎と激怒で対抗する」と発言したほか、朝鮮人民軍戦略軍は米領グアムの周辺に中距離弾道ミサイルの発射を検討していると朝鮮中央通信が伝えた。国際政治情勢の不透明感が強まったとの見方から、最高値圏にある米株式には目先の利益確定を目的とした売りが優勢だった。
 
米国債には運用リスクを回避する目的の買いが入り、米長期金利は低下した。貸出金利と預金などの調達金利の差に当たる利ざやが改善するとの期待が後退し、ゴールドマン・サックスなど金融株が売られた。動画配信事業への本格参入を発表したディズニーは先行投資が収益の負担になるとの思惑から売られ、1銘柄でダウ平均を28ドル強押し下げた。
 
朝方発表の2017年4~6月期の労働生産性指数(速報)は前期比年率0.9%上昇し、市場予想(0.6%上昇)を上回った。だが、単位労働コストの伸びが予想を下回ったこともあって、株式市場では好感した動きは目立たなかった。
 
ナスダック総合株価指数は前日比18.128ポイント安の6352.332で終えた。ディズニーが映画提供を打ち切ると発表したのを受け動画配信のネットフリックス(NFLX)が売られた。フェイスブックやアルファベット(グーグル)、アマゾン・ドット・コムなどの主力株も下げて指数の重荷になった。
 
セクター別では、テクノロジー・ハード・機器や医薬品・バイオテクノロジーが上昇する一方で小売や公益事業が下落した。
 
旅行予約サイトのプライスライン(PCLN)は決算内容が嫌気され、軟調推移した。
朝方発表の四半期決算で1株利益と売上高が市場予想を下回った後発薬大手のマイランも売られた。四半期決算が大幅な減収となり最終赤字に転落した腕時計のフォッシルは急落した。事務用品小売のオフィスデポ(ODP)は一株利益が予想を下振れ、約25%の大幅下落だった。
 
一方で、北朝鮮情勢の緊張を受けて、防衛企業のレイセオン(RTN)、ロッキード・マーティン(LMT)やノースロップ・グラマン(NOC)など防衛株に買いが広がっている。
四半期決算で北米の既存店売上高が市場予想を上回ったハンバーガーチェーンのウェンディーズが上昇。四半期決算で1株利益が市場予想を大幅に上回った企業向けITサービスのDXCテクノロジーも買われた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
22,048.70-36.64             
S&P500種
2,474.02-0.90
ナスダック
6,352.332-18.128
 
WTI 49.56 +0.39 (+0.79%)
ドル円    109.97
ユーロ円129.33
米10年債利回り(%)2.248


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は続落した。9月物は前日比180円安の1万9755円で終え、9月物の終値としては約2カ月半ぶりの安値となった。
北朝鮮情勢の緊迫で投資家心理が悪化。外国為替市場では円高が進み、米株式相場が下げたため、日経平均先物にも売りが優勢だった。この日の9月物の安値は1万9635円、高値は1万9930円。
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
19755 ( +25 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
19765 ( +35 )
( )は大阪取引所終値比
 
【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7498.06(-44.67)
FTSE100種総合株価指数は反落した。前日終値に比べ44.67ポイント安の7498.06で引けた。医薬品株と金融株の下げが指数を押し下げ、構成銘柄の約6割が下落した。北朝鮮情勢を巡る地政学リスクの高まりで、アジアと欧米の株式相場が下落し、それにつれ安となった。
医薬品株が下落した。グラクソ・スミスクラインは株価目標引き下げなどが響いた。スタンダードチャータード銀行など銀行株と、プルーデンシャルなど保険株も軒並み売られた。
半面、リスク回避の流れで金が上昇し、関連のフレスニージョとランドゴールド・リソーシズはそれぞれ、5%近く、2%超上がった。
航空・防衛のBAEシステムズ、医療のメディクリニック・インターナショナルも買われた。
  
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12154.00(-138.05)
ドイツ株式指数(DAX)は反落。終値は前日比138.05ポイント安の12154.0だった。パリ郊外で仏軍兵に車が突入したほか、北朝鮮情勢が緊迫化したことで投資家心理が悪化し、欧州各国株式相場が下落した。
コメルツ銀行は4%超、ドイツ銀行も3%超それぞれ下落した。上昇したのは、電力のエーオンとRWE、タイヤのコンチネンタル、半導体のインフィニオンテクノロジーズの4銘柄だけだった。
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5145.70(-73.19)

株ちゃんofficial xはこちら!
目次