ダウ続伸75ドル高、ハイテクの一角に買い

8日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比75ドル86セント(0.2%)高の3万4576ドル59セントで終えた。

足元で下げが目立ったハイテク株の一角などが買い直された。一方、原油高によるインフレ高止まりで米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの見方が重荷となり、ダウ平均は下げる場面もあった。

米金融政策の動向に影響を与えるCPIの内容を見極めたいとの思惑から、「積極的な取引が見送られた」格好。原油相場が上昇し、インフレ懸念が高まったことも相まってダウは伸び悩んだ。
一方、中国が政府機関の職員にスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の利用を禁じたとの報道を受けて2日連続で下落したアップルは、値頃感が出たため買い戻された。

ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースなどが買われ、ダウ平均を支えた。中国が海外製スマートフォンへの規制を強化するとの懸念から前日までの2営業日で6%あまり下落したアップルも反発した。12日の説明会で新型「iPhone(アイフォーン)」の発売を明らかにするとみられる。新製品発表や週末を前に売り持ちを手じまう動きがあった。

ダウ平均は130ドル近く上げる場面があった。バイオ医薬品のアムジェンや映画・娯楽のウォルト・ディズニー、金融のゴールドマン・サックスなども上昇した。

午後に入ると上げ幅を縮小した。米原油先物相場の上昇が続き、改めてインフレ警戒感が広がった。米長期金利が一時前日比0.02%高い(債券価格は安い)4.26%を付け、株式の相対的な割高感につながった。

来週13日に8月の消費者物価指数(CPI)、14日に8月の小売売上高の発表がある。インフレや個人消費の動向を見極めたいとの雰囲気も買い手控えにつながった。

航空機のボーイングが2%あまり下げた。7日の投資家向け説明会で以前に明らかになった機体の不具合の影響で今年の主力小型機「737MAX」の出荷機数が会社予想の下限になるとの見通しを示したことなどが売りを誘った。

ナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに小反発し、前日比12.694ポイント(0.1%)高の1万3761.526で終えた。マイクロソフトのほか、ネット検索のアルファベット(グーグル)などが上げた。一方、電気自動車のテスラや画像処理半導体のエヌビディアなどは下げが続いた。

 


【シカゴ日本株先物概況】

8日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比150円安の3万2520円で引けた。
8月の米消費者物価指数(CPI)の発表を来週に控えて様子見姿勢が強まる中、続伸した。
同日の東京株式市場で日経平均株価が下落し、シカゴ市場でも先物売りが出た。

シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
32520 ( +100 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
32580 ( +160 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

8日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日に比べ36.47ポイント(0.49%)高の7478.19で取引を終えた。イングランド銀行(英中央銀行)の金融引き締めサイクルが終了に近いとの見方が広がっている。利上げ継続による経済への下押し圧力が緩和するとの期待から幅広いセクターに買いが入った。

外国為替市場では英ポンドが対ドルで下落基調にある。ポンド安による業績への好影響が期待され、売上高に占める海外比率の高い銘柄が多い医薬品や日用品、飲食料品・たばこセクターが上昇した。

FTSEの構成銘柄では、製薬大手GSKが4.03%高、賭け屋大手エンテインが3.76%高、小売り大手JDスポーツ・ファッションが2.61%高だった。
一方、投資会社メルローズ・インダストリーズは4.91%安、段ボール大手スマーフィット・カッパは3.17%安、医療機器のコンバテックは2.60%安となった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

8日のドイツ株価指数(DAX)は6営業日ぶりに反発した。前日に比べ21.64ポイント(0.14%)高の1万5740.30で取引を終えた。5営業日続落していた後で、値ごろ感の出た銘柄を中心に押し目買いが入った。前日に下落していた自動車や化学セクターの一角が買い直された。

半面、鉱工業生産や小売売上高など最近の統計は、ドイツ経済の落ち込みを示唆するものが多い。景気の先行きへの懸念は根強く、上値は限られた。

個別では、素材化学大手コベストロが7.81%高と急伸。コメルツ銀行は1.82%高、自動車大手フォルクスワーゲンは1.23%高、ドイツ取引所は1.02%高だった。半面、通販大手ザランドは5.14%安、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズは3.08%安、医療機器のザルトリウスは2.54%安と売られた。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は0.62%高(週間では0.77%安)だった。

前日発表された弱い雇用関連指標を受けて利上げ停止観測が広がり、株価を押し上げた。
 

 

株ちゃんofficial xはこちら!
目次