11日のNYダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比65ドル57セント(0.19%)高の3万3804ドル87セントで終えた。
米長期金利は、10年物国債の入札が低調だったことで午後にかけいったん上昇。これに伴いダウは一時マイナス圏に沈んだ。ただ、終盤にかけては米連邦準備制度理事会(FRB)高官からハト派的な発言が相次いでいることが改めて意識され、金利が低下し、ダウも切り返した。
朝発表の9月の米卸売物価指数(PPI)は市場予想を上回ったものの、前月から伸びが鈍化した。米長期金利が連日で低下し、株式相場の支えとなった。ただ、12日に9月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて様子見姿勢も強く、ダウ平均は下げる場面もあった。
9月のPPIは前月比0.5%上昇とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.3%上昇)を上回った。一方、8月(0.7%上昇)からは伸びが減速した。市場ではガソリンなどエネルギー価格の押し上げ要因が大きいとの見方から「PPIの上振れがFRBの政策判断を変えることはない」と受け止められた。
米長期金利は一時は4.5%台を付け、前日終値(4.65%)を下回って推移した。このところFRB高官が相次いで追加利上げに慎重な姿勢を示している。11日はウォラー理事が「金融環境が引き締まっており、我々の任務の一部を肩代わりしている」との考えを示したと伝わった。中東情勢を巡る地政学リスクの高まりを背景に相対的に安全な資産である米国債は買われやすい面もあった。
午後にFRBが公表した9月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では「大多数の参加者が今後の会合でもう一回利上げすることが適切になる」とみていた一方、数人は「利上げしないことが正当化される」としていたことが明らかになった。「大半の参加者が景気の先行きは極めて不透明」とみていたこともわかった。市場では「政策判断を慎重に進めたいFRBは10月31日~11月1日の会合で政策金利を据え置くことになるだろう」との見方があった。
ダウ平均の上値は重かった。12日に発表を控える9月のCPIは、前年同月比と前月比ともに伸び率が縮小すると予想されている。一方、食品とエネルギーを除くコア指数は前月比では8月と同じ上昇率が見込まれている。市場予想から大幅に上振れする内容となればFRBが追加利上げを決める可能性も意識され、買い手控えにつながった。
個別では、バイオ製薬のアムジェンや航空機のボーイングが高い。ソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルも買われた。一方、石油のシェブロンが安い。医薬品・医療機器のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)や日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)も売られた。
ナスダック総合株価指数は4日続伸し、前日比96.833ポイント(0.71%)高の1万3659.677で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタプラットフォームズ、画像処理半導体のエヌビディアなど主力株に買いが入った。
【シカゴ日本株先物概況】
11日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比170円高の3万1990円で終えた。
米長期金利が連日で低下したのを受けて、この日は米株式相場が上昇し4営業日続伸した。日経平均株価も堅調に推移し、シカゴ市場の先物には買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
31990 ( +90 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
32025 ( +125 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7620.03(-8.18)
11日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日に比べ8.18ポイント(0.10%)安の7620.03で終えた。英原油先物相場が下げ幅を広げたのに伴いエネルギー株への売りが増え、指数の重荷となった。ヘルスケアや消費関連株も下げた。中国景気への先行き不透明感なども背景に、高級ブランドのバーバリー・グループは前日比3%安で終えた。
FTSEの構成銘柄では、システムキッチンメーカーのハウデン・ジョイナリーが4.77%安と下落幅トップ。医療機器のコンバテックは3.91%安、小売り大手JDスポーツ・ファッションは3.85%安と続いた。一方、たばこ大手インペリアル・ブランズは1.86%高、金融大手M&Gは1.64%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15460.01(+36.49)
11日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比36.49ポイント(0.23%)高の1万5460.01で終えた。不動産や消費関連など幅広い銘柄に買いが入った。個別では不動産大手ボノビアや防衛大手ラインメタルの上昇が目立った。両銘柄とも、一部金融機関が目標株価を引き上げたと伝わった。
個別では、防衛大手ラインメタルが2.71%高、不動産大手ボノビアが2.16%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーが1.79%高と買われた半面、ヘルスケア大手フレゼニウスが7.84%安、通販大手ザランドが2.16%安、ドイツ取引所が1.75%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7131.21(-31.22)
フランスCAC40種指数は0.44%安だった。原油価格の下落につられたエネルギー株の低迷が響いた。
