15日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比348ドル85セント(0.90%)高の3万8773ドル12セントで終えた。
この日発表された1月の米小売売上高は市場予想を大幅に下回った。消費の落ち着きが意識され、長期金利が低下したことや、米経済に対する楽観的な見通しが支えとなり、景気動向に敏感な金融やメーカーなどが積極的に買われた。
朝方発表の週間の米新規失業保険申請件数は21万2000件とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(22万件)を下回り、労働市場の底堅さを示した。ニューヨーク連銀とフィラデルフィア連銀が発表した2月の製造業景況指数はともに前月から改善。1月の米小売売上高は前月比0.8%減と市場予想(0.3%減)以上に減ったものの、冬の悪天候が影響したとの見方が多かった。
米経済のソフトランディング(軟着陸)期待が根強く、景気敏感株や消費関連株を中心に買いが広がった。中小型株で構成する株価指数ラッセル2000は2%強上昇し「市場心理の改善につながった」との見方があった。
S&P500種株価指数も続伸した。前日比29.11ポイント(0.58%)高の5029.73と、9日以来となる過去最高値で終えた。相場上昇に乗り遅れまいとする投資家の買いを誘った面もあった。
米長期金利は一時前日比0.07%低い4.18%に低下した。今週はCPIの発表を受け4.3%台前半と12月上旬以来の高水準を付けていたが、その後は金利の上昇に一服感が出ており、株買いを支えた。
ダウ平均の構成銘柄では化学のダウ、金融のJPモルガン・チェースと同業のゴールドマン・サックス、建機のキャタピラーが高い。原油高を受け、石油のシェブロンの上昇も目立った。
一方、前日夕に決算発表とあわせて通期の業績見通しを引き下げたネットワーク機器のシスコシステムズは2%下げた。ソフトウエアのマイクロソフトも安い。14日夕に米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが保有株を減らしていたことが分かったスマートフォンのアップルは小幅安で終えた。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前日比47.028ポイント(0.29%)高の1万5906.174で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズや電気自動車のテスラが買われた。半面、ネット検索のアルファベットや画像処理半導体のエヌビディアは売られた。
【シカゴ日本株先物概況】
15日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比475円高の3万8575円で終えた。この日は日経平均株価が約34年ぶりに3万8000円台を回復。
NYダウは、米長期金利の低下を背景に幅広い銘柄に買いが入り、続伸した。
米国ではS&P500種株価指数が最高値を更新するなど投資家心理が強気に傾き、シカゴ市場では日経平均先物に買いの勢いが増した。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
38575 ( +435 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
38585 ( +445 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
15日のFTSE100種総合株価指数は続伸し、前日比29.13ポイント(0.38%)高の7597.53で終えた。15日に発表された2023年10〜12月期の英実質国内総生産(GDP)の速報値が市場予想を下回る弱い内容となった。英イングランド銀行(中央銀行)が近い将来、利下げに動く可能性が意識され、投資家心理を支えた。
銀行や保険など金融株が買われた。航空機エンジンの英ロールス・ロイス・ホールディングスなど資本財株の一角にも買いが入った。半面、エネルギー株の下げは指数の重荷だった。
FTSEの構成銘柄では、特殊化学品大手クローダ・インターナショナル(3.27%高)やホームセンター大手キングフィッシャー(3.02%高)、産金大手フレスニロ(2.66%高)が買われた一方、たばこ大手インペリアル・ブランズ(3.25%安)や投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングス(1.69%安)などが売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
15日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比101.21ポイント(0.59%)高の1万7046.69で終えた。終値として最高値を3営業日ぶりに更新した。好調な決算を公表したコメルツ銀行など銀行株に買いが入った。
個別では、好決算を発表したコメルツ銀行が5.53%高と上昇率トップ。一部金融機関が目標株価を引き上げたと伝わった防衛大手ラインメタルが3.51%高、不動産大手ボノビアが2.91%高と続いた。他方、エネルギー大手シーメンス・エナジーが1.74%安、航空機大手エアバスが1.00%安だった。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場ではフランスの株価指数CAC40も3営業日ぶりに最高値を更新した。終値は前日比66.07ポイント(0.86%)高の7743.42となった。好決算を公表した仏自動車大手ルノーや、決算とあわせて自社株買い計画を示した自動車の欧州ステランティスの株価上昇が目立った。不動産や消費の関連銘柄にも買いが入り、指数を支えた。
