29日のNYダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比338ドル30セント(1.0%)高の3万5294ドル19セントで終えた。3万5000ドル台を回復するのは2月10日以来。
ロシアによるウクライナ軍事侵攻をめぐり、両国は同日、トルコで停戦交渉に臨んだ。ウクライナ側は、トルコなどがウクライナの安全を保証する仕組みを提案。交渉が「建設的」だったとするロシア側交渉担当者の発言が伝わった。さらにロシアは、ウクライナの首都キエフなど同国北部での軍事作戦を大幅に縮小することを決めたと明らかにした。
停戦合意への期待が膨らみ、ダウ平均は一時400ドル超上昇。原油の供給懸念が後退したことから、米原油先物相場が下落し、インフレ加速への過度な懸念が和らいだことも、株価を支えた。
欧米によるロシア産原油の禁輸措置が将来和らぐとの期待から、原油先物相場は朝方に前日比7%安の1バレル98ドル台に下げる場面があった。インフレ懸念が薄れ、消費関連株が買われやすかった。クレジットカードのビザやスポーツ用品のナイキ、映画・娯楽のウォルト・ディズニーが3%前後上昇した。航空機のボーイングや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)など景気敏感株も総じて上げた。
ハイテク株も買われ、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムは3%高、ソフトウエアのマイクロソフトも高い。スマートフォンのアップルは11日続伸した。
半面、原油安を受け、石油のシェブロンは売られた。資源高が業績の追い風となる建機のキャタピラーも下げた。
米債券市場では10年物と2年物国債利回りが2.39%で並ぶ場面があった。長短金利差が逆転すると市場では景気後退の予兆と受け止められるが、29日は株買いが続いた。投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は前日比4%ほど低い18.9で終えた。不安心理が高まった状態とされる20を前日に下回り、さらに低下した。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比264.734ポイント(1.8%)高の1万4619.636と、2カ月半ぶりの高値で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズが3%高、動画配信のネットフリックスも上げが目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,294.19+338.30
S&P500種
4,631.60+56.08
ナスダック
14,619.636+264.734
FTウィルシャー5000
47,349.98+656.53
NY金(ドル/トロイオンス)
1,918.00-26.70
NY原油(ドル/バレル)
105.34+1.10
円・ドル
122.91 – 122.93-0.66
【シカゴ日本株先物概況】
29日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比330円高の2万8340円で引け、29日の大取終値を420円上回った。
ロシア国防省が29日、ウクライナの首都キエフと北部チェルニヒウでの軍事活動を縮小すると発表し、停戦交渉の進展期待から買われた。米原油相場の続落も支援材料とみられた。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
28340 ( +420 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28380 ( +460 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7537.25(+64.11)
29日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日に比べ64.11ポイント(0.86%)高の7537.25で引けた。ロシア国防省が29日、ウクライナの首都キエフ近郊での軍事活動を縮小すると発表した。ウクライナ情勢を巡る緊張緩和への期待から投資家心理が上向いた。
FTSEの個別銘柄を見ると、欧州航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が6.8%高と堅調。英高級衣料バーバリーも4.8%高と買われた。半面、軍需増を見込んで買われていた英航空・防衛大手BAEシステムズが2.5%安とさえなかった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14820.33(+402.96)
29日のドイツ株価指数(DAX)は大幅に3日続伸し、前日比402.96ポイント(2.79%)高の1万4820.33で終えた。ウクライナとロシアとの停戦協議が進み、近く停戦で合意できるとの期待から投資家心理が強気に傾いた。原油相場の下落がインフレ加速懸念を和らげたのも、幅広い銘柄の買いにつながった。料理宅配大手デリバリーヒーローが15.5%の大幅高だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6792.16(+203.05)
フランスCAC40種指数は3.08%高となった。
ロシアとウクライナの停戦交渉の進展に期待感が広がった。ロシア軍が首都キエフでの軍事作戦縮小を明らかにしたことも相場を後押しした。仏化粧品大手ロレアルが4.4%とこわばった。
