14日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比242ドル75セント(0.61%)高の4万0008ドル39セントで終えた。1日以来、ほぼ2週間ぶりに4万ドルを回復した。
この日発表された7月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比で2.9%と、前月(3.0%)を下回った。3%台を割り込むのは2021年3月以来。インフレの鈍化傾向の継続が改めて確認され、9月に連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを決定するとの見方が一段と高まる中、買い安心感が広がった。
13日発表の7月の米卸売物価指数(PPI)も市場予想を下回り、物価上昇圧力の緩和を示した。米連邦準備理事会(FRB)が利下げに動きやすくなり、米景気を支えるとの安心感につながった。労働市場の軟化や米景気下振れへの過度の警戒が薄れる傾向にあり、「投資家心理を支えている」との声があった。
15日には7月の米小売売上高が発表されるほか、減速兆候が見られる雇用情勢を見極めるため週間新規失業保険申請件数にも注目が集まる。市場関係者は「新規失業保険申請件数が25万件を超えるなどした場合には、0.50%の利下げ観測が高まる可能性がある」と指摘した。
ダウ平均の構成銘柄ではアメリカン・エキスプレスやホーム・デポ、トラベラーズの上昇が目立った。半面、インテルが売られた。13日付の米証券取引委員会(SEC)への届け出で、2024年4〜6月期に保有する英半導体設計のアーム・ホールディングスの米預託証券(ADR)をすべて売却していたことが分かり、売りを誘った。メルクも安い。
ナスダック総合株価指数は小幅に5日続伸した。前日比4.993ポイント(0.02%)高の1万7192.601で終えた。エヌビディアやブロードコムなどが上昇した。一方、アルファベットの下げが目立った。傘下のグーグルに米司法省が事業分割を命じることを検討しているとの13日夕の報道が売り材料となった。テスラの下げも大きかった。
【シカゴ日本株先物概況】
14日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比140円安の3万6275円で終えた。NYダウ平均は、米インフレ指標の鈍化を受けて9月の米利下げ期待が広がる中で続伸した。同日は日米株式相場がともに上昇したものの、シカゴ市場の日経平均先物には売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
36275 ( -105 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
36320 ( -60 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
14日のFTSE100種総合株価指数は4日続伸し、前日比45.82ポイント(0.55%)高の8281.05で終えた。14日発表の英米の物価指標を踏まえた英国と米国での利下げ期待が投資家心理を支えた。
14日発表の7月の英消費者物価指数(CPI)で上昇率が市場予想を下回ったのを受けて英長期金利が低下し、バラット・ディベロップメンツなど住宅建設株が買われた。航空・防衛大手のBAEシステムズなど資本財関連の銘柄も買いが優勢だったほか、銀行株も上げた。他方、英豪リオティントなど資源株の一角には売りが出た。
FTSEの構成銘柄では、ヒクマ・ファーマシューティカルズが4.98%上昇と上昇率トップ。賭け屋大手エンテインが4.54%高、住宅大手バークリー・グループが3.90%高と続いた。他方、資源大手リオ・ティントが1.54%安、鉱業大手アングロ・アメリカンが1.50%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
14日のドイツ株価指数(DAX)は7日続伸し、前日比73.55ポイント(0.41%)高の1万7885.60で終えた。米利下げ観測などを背景とした前日の米株高や、14日のフランスや英国の株式相場上昇を受け、フランクフルト市場でも買いが優勢となった。
個別では、一部金融機関が投資判断を引き上げたハノーバー再保険が2.29%高、防衛大手ラインメタルが1.90%高、スポーツ用品大手アディダスが1.83%高と上げを主導。他方、電力大手RWEが5.70%安、エネルギー大手イーオンが2.91%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの主要な株価指数であるCAC40は続伸し、前日比0.79%高で終えた。高級ブランドの仏エルメス・インターナショナルなど主力株に買いが優勢で、指数を押し上げた。