14日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比221ドル16セント(0.52%)高の4万2518ドル28セントで終えた。
米労働省が朝方発表した昨年12月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇と、市場予想(0.3%上昇)を下回った。インフレ再燃に対する警戒感が和らぎ、買い安心感が広がったことが相場を下支えした。
一方、翌日に米消費者物価指数(CPI)や、企業決算の本格化を控える中、様子見ムードも漂った。内容を見極めたいとの思惑から持ち高調整の売りも出たため、ダウは一時マイナス圏に沈んだ。
ダウ平均は前週末に11月上旬以来の安値を付けていた。PPIの発表を受け、このところ株式相場の重荷となっていた米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースが鈍化するとの懸念がやや薄れた。14日はキャタピラーやスリーエムなど景気敏感株を中心に買いが入りやすかった。
ただ、ダウ平均は下げる場面もあった。今後のFRBの政策運営を探るうえで15日発表のCPIの内容を確認したい投資家は多く、様子見ムードも広がった。
14日の米債券市場では長期金利はPPIの発表後に低下した後に再び上昇するなど、不安定な動きとなった。CPIが上振れすると、金利が一段と上昇する可能性がある。「金利が高止まりする間は積極的に株買いに動きにくい」との声が聞かれた。
個別銘柄ではシャーウィン・ウィリアムズやゴールドマン・サックス、セールスフォースが買われた。一方、ボーイングは2%ほど下げた。14日に発表した24年12月期通期の納入機数が前の年を大幅に下回った。メルクやナイキ、エヌビディアも売られた。
ナスダック総合株価指数は5日続落した。前日比43.709ポイント(0.22%)安の1万9044.393(速報値)と、24年11月下旬以来の安値で終えた。メタプラットフォームズやアルファベット、テスラが下げた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やブロードコムなど半導体株の一角も安い。
【シカゴ日本株先物概況】
14日のシカゴ日経平均先物は小幅に上昇した。3月物は前日比20円高の3万8725円で終えた。この日は日経平均株価が下落した一方、NYダウ工業株30種平均が上昇したため、シカゴ市場の日経平均先物には買いがやや優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38725 ( +225 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38795 ( +295 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
14日の英FTSE100種総合株価指数は3日続落し、前日比22.65ポイント(0.27%)安の8201.54で終えた。収益見通しの修正など、個別の材料を踏まえた売りが一部銘柄に出た。14日発表された2024年12月の米卸売物価指数(PPI)を材料に、米国や英国の長期金利が水準を切り下げる場面があったのは、投資家心理の支えとなった。
中小型株で構成するFTSE250種株価指数は3営業日ぶりに反発し、前日比0.24%高で終えた。
FTSEの構成銘柄では、14日に25年1月通期の税引き前利益の見通しを引き下げた小売り大手JDスポーツ・ファッションが6.36%安、ゲーム大手ゲームズ・ワークショップが5.97%安、衣料小売り大手ネクストが3.44%安と売られた。
半面、住宅大手パーシモンは5.49%高、通信大手エアテル・アフリカは3.53%高、建機レンタルのアシュテッド・グループは3.25%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
14日のドイツ株価指数(DAX)は5営業日ぶりに反発し、前日比138.48ポイント(0.68%)高の2万0271.33で終えた。14日発表された2024年12月の米卸売物価指数(PPI)で上昇率が市場予想を下回った。米国でのインフレ再燃への懸念がやや和らぎ、米国やドイツの長期金利が水準を切り下げると、DAXは上げ幅を広げる場面があった。
米次期政権による関税政策に対する警戒感がやや弱まったのも、投資家心理を支えた。米ブルームバーグ通信が13日、トランプ次期大統領の経済チームが月ごとに徐々に関税率を引き上げる案を検討していると報じたのがきっかけとなった。
個別では、ドイツ銀行が3.35%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーが3.27%高、コメルツ銀行が2.15%高と上伸。他方、香料大手シムライズは3.21%安、医療機器のザルトリウスは2.75%安、製薬大手バイエルは2.16%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3営業日ぶりに反発し、前日比0.20%高で終えた。仏ソシエテ・ジェネラル、BNPパリバなど金融が上げた半面、仏トタルエナジーズや製薬のサノフィが下げた。
