ダウ続伸105ドル高、エネルギー株に買い

11日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比105ドル25セント(0.3%)高の3万5281ドル40セントで終えた。

朝方発表された7月の米卸売物価指数(PPI)の伸びは前月比、前年同月比ともに市場予想を上回り、前年比で加速。PPIを受けてインフレ鈍化期待が後退し、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げへの警戒感から寄り付き直後のダウは売りが優勢な展開となった。

だが、売り一巡後はプラス圏に切り返し、エネルギー、ヘルスケア株などが買われ、堅調な値動きを維持した。ただ、支援材料に乏しく、上値も重かった。この日はPPIを眺めて米長期金利が上昇し、割高感が意識されやすいハイテク株の圧迫要因だった。

製薬のメルクや医薬品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、医療保険のユナイテッドヘルス・グループなどディフェンシブ株が買われた。米原油先物相場が上昇し、石油のシェブロンは2%高となった。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや機械のハネウェル・インターナショナルなど景気敏感株の一角も上げた。

市場では「ハイテク株を売って、出遅れ感があった銘柄を買う循環物色が広がった」(グリーンウッド・キャピタル・アソシエーツのウォルター・トッド氏)との声が聞かれた。

7月のPPIは前月比0.3%上昇し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.2%上昇)を上回った。米連邦準備理事会(FRB)が9月に政策金利を据え置くとの観測が根強いものの「(その次の会合がある)11月に利上げする選択肢を残す可能性が高い」との見方があった。物価上昇の鈍化に時間がかかれば、政策金利が高止まりするとの観測につながった。

朝方は売りが先行。ダウ平均は100ドルあまり下げる場面があった。

米債券市場では長期金利が上昇(債券価格は下落)し、一時は前日比0.06%高い4.17%を付けた。長期金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株には売りが優勢となった。ダウ平均の構成銘柄ではソフトウエアのマイクロソフトが下げた。前日に大幅高となった映画・娯楽のウォルト・ディズニーは3%安で終えた。航空機のボーイングも下げ、ダウ平均の重荷となった。

ナスダック総合株価指数は反落し、前日比93.137ポイント(0.7%)安の1万3644.849で終えた。エヌビディアなど半導体関連株の下げが目立った。電気自動車のテスラや交流サイトのメタプラットフォームズも売られた。
 


【シカゴ日本株先物概況】

11日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比75円安の3万2455円で引けた。NYダウは、エネルギー、ヘルスケア株に買いが入る中、続伸した。ただ、米長期金利の上昇が同日の米株式相場の重荷となり、日経平均先物にも売りが波及した。

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

11日のFTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反落した。前日に比べ94.44ポイント(1.24%)安の7524.16で取引を終えた。11日発表の4~6月期の英実質国内総生産(GDP)が市場予想を上回った。高インフレ下でも同国経済が想定以上に堅調さを維持していることが示唆され、イングランド銀行(英中央銀行)の追加利上げ観測が強まったのが株式相場の重荷となった。資源や食品・飲料・たばこ、医薬品などを中心に幅広いセクターが売られた。

FTSE100の構成銘柄では9割強が売られた。このうち、賭け屋大手エンテインが4.89%安と下落幅トップ。産銅大手アントファガスタは4.20%安、投資信託アブルドンは3.38%安だった。
一方、保険大手ビーズリーが1.13%高と買われた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

11日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反落した。前日に比べ164.35ポイント(1.03%)安の1万5832.17で取引を終えた。11日発表の7月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回った。インフレ圧力の根強さが意識される中、仮に利上げを停止したとしても、欧米の中央銀行が政策金利を長期間、高水準にとどめるとの警戒感が株式の売りにつながった。ドイツ長期金利の上昇も重荷だった。消費財や金融など景気敏感銘柄のほか、テクノロジーセクターが売られた。

個別では、8割強の構成銘柄が下落。通販大手ザランドが3.23%安だったほか、自動車部品大手コンチネンタルが3.21%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが3.14%安と売られた。コメルツ銀行は2.23%高だった。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は1.26%安(同1.62%高)だった。
欧米の債券利回りが上昇したことも株価への下押し圧力となった。

 

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