20日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比47ドル79セント(0.2%)高の3万1874ドル84セントで終えた。
市場予想を上回る米企業の決算発表が多く、業績悪化の懸念が和らいだ。
動画配信のネットフリックスが発表した4~6月期決算では、期末の会員数が3カ月前から97万人減となったものの、減少幅は同社が事前に示した予想の半分にとどまった。また、9月末の会員数は100万人増を見込んだ。同社の決算が底堅い内容となったことで企業業績への過度な懸念が和らぎ、動画配信サービスを展開する競合他社のほか、ハイテク大手に買いが入った。
市場では米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが加速するとの観測が薄れつつあり、弱気相場は底入れしたとの期待も買いにつながった。
相場をけん引したのはハイテク株だ。ダウ平均の構成銘柄では、顧客情報管理のセールスフォースが5%上げ、スマートフォンのアップルとソフトウエアのマイクロソフトも上昇した。主力ハイテクの多くは来週に決算発表を予定している。警戒しているほど悪い決算にならないとみて買いを入れたようだ。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、ネットフリックスが前日に発表した決算もそうした市場の見方を後押しした。動画配信の有料契約者数の減少幅が市場予想より小さかった。ネットフリックスは7%高で終え、同じく動画配信を手掛ける映画・娯楽のウォルト・ディズニーも4%高とつれ高して終えた。
原油など国際商品相場の下落基調でインフレ懸念が和らぎ、市場ではFRBが利上げペースを加速するとの見方が弱まっている。「今後の決算発表次第だが、長い目でみて相場が底入れした可能性が意識されている」との声があった。
一方、業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ株が幅広く売られ、ダウ平均の重荷になった。製薬のメルクと通信のベライゾン・コミュニケーションズ、医療保険のユナイテッドヘルス・グループがいずれも3%下落した。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比184.503ポイント(1.6%)高の1万1897.651で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズやネット通販のアマゾン・ドット・コム、半導体のエヌビディアなど主力株の上昇が目立った。半導体株は、米議会で審議中の500億ドル規模の半導体業界への補助金の期待も買いを誘った。
【シカゴ日本株先物概況】
20日のシカゴ日経平均先物は続伸した。9月物は前日比210円高の2万7575円で引け、20日の大取終値を105円下回った。米利上げ加速による景気悪化への警戒感の薄れから米株が続伸し、日経平均先物の買いを支えた。 20日発表の6月の米中古住宅販売件数は2年ぶりの低水準になり、米金融当局は急速な利上げに慎重になるとの見方が強まった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
27575 ( -105 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
27605 ( -75 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数FTSE100 7264.31(-31.97)20日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反落し、前日に比べ31.97ポイント(0.44%)安の7264.31で引けた。20日発表の6月の英消費者物価指数(CPI)の伸び率が市場予想を上回った。インフレ抑制のため、英中銀が大幅な利上げを実施するとの観測が広がり、英景気の冷え込みを警戒した売りが出た。FTSEでは、包装資材のDSスミスが3.8%安と最も大きく売られ、製薬大手アストラゼネカ(2.8%安)と航空機エンジン製造大手ロールス・ロイス(1.9%安)が続いた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数DAX 13281.98(-26.43)20日のドイツ株価指数(DAX)は4営業日ぶりに反落した。前日に比べ26.43ポイント(0.20%)安の1万3281.98で終えた。ロシアからの天然ガス供給に対する根強い不安が投資家心理の重荷になった。前日までの大幅高で利益を確定する目的の売りも出やすかった。自動車株や化学株が売られた。DAXでは、食材宅配大手ハローフレッシュが9.4%安と急落し、下落率でトップだった。■フランス・パリ株価指数CAC40 6184.66(-16.56)フランスCAC40種指数は0.27%安だった。エネルギーの供給逼迫(ひっぱく)が景気悪化につながるとの懸念が広がり、株価の重しとなった。
