30日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前週末比511ドル37セント(1.57%)高の3万2928ドル96セントで終えた。1日の上げ幅としては6月2日(701ドル高)以来の大きさとなった。
前週末のダウ平均は3月以来の安値で終えており、自律反発狙いの買いが入った。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や10月の米雇用統計の発表など重要日程を控えており、売り持ちを手じまう買いも入りやすかった。
ダウ平均は直近2週間の下げ幅が1200ドルを超えた。前週末にはナスダック総合株価指数に加えて、S&P500種株価指数も7月の高値からの下落率が「調整局面」入りの目安とされる10%を超えていた。
市場では、インフレの鈍化傾向や中東情勢の緊迫化などを受け、FRBが金融政策会合で政策金利を据え置くとの観測が台頭。これまでの続落を受けた割安感による買い戻しも相場を支え、ダウは大半の銘柄で値を上げた。
報道によると、全米自動車労組(UAW)とゼネラル・モーターズ(GM)が25%の賃上げを柱とした労働協約で暫定合意した。自動車大手3社で約1カ月半にわたって続いたストライキが終結することへの好感が広がり、株価上昇の材料となった。自動車産業は「裾野が広く経済への波及効果が大きい」ことが背景にある。
今週は米連邦準備理事会(FRB)だけでなく、日銀や英イングランド銀行(中央銀行)も政策会合を開く。米国では雇用統計などの注目度の高い経済指標や、スマートフォンのアップルの決算発表も予定されている。
イスラエルは前週末からイスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区への空爆や地上作戦を拡大させていると伝わっている。中東情勢の悪化懸念は引き続き根強いものの、30日の米原油先物相場は下落した。外国為替市場ではドルが主要通貨に対して売られた。原油高やドル高を通じた米企業の収益圧迫への懸念がやや和らいだことも、米株相場の支えになったとの見方があった。
ダウ平均の構成銘柄では、スポーツ用品のナイキや金融のゴールドマン・サックスが4%弱上昇した。通信のベライゾン・コミュニケーションズや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)も買われた。前週に売りが目立ったハイテク株も買い直され、ソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルが高い。朝に発表した2023年7~9月期決算が市場予想を上回った外食のマクドナルドは2%弱高となった。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前週末比146.472ポイント(1.15%)高の1万2789.483で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタプラットフォームズ、検索サイトのアルファベットなど主力株が買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
30日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前週末比10円安の3万600円で終えた。
米連邦準備制度理事会(FRB)が31日、11月1日に開く金融政策会合で利上げを見送るとの観測から買いが膨らみ、急反発した。
同日の米株式相場は上昇したものの、日経平均先物への影響は限られた。東京市場で日経平均株価が大幅下落したのにつれた面もあった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
30600 ( -100 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
30625 ( -75 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7327.39(+36.11)
30日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前週末に比べ36.11ポイント(0.49%)高の7327.39で引けた。生活必需品や一般消費財など消費関連株や素材株が上昇し、指数を支えた。資本財や消費者向けサービス関連の銘柄にも買いが入った。
FTSE100種指数は前週末におよそ2カ月ぶりの安値を付けていた。
FTSEの構成銘柄では、通信大手エアテル・アフリカが4.64%高、保険会社セント・ジェームズ・プレイスが3m75%高、教育・メディア大手ピアソンが2.94%高だった。
一方、オンライン食品販売大手オカド・グループは4.16%安、金融大手HSBCホールディングスは2.28%安、同業ナットウエストは2.12%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14716.54(+29.13)
30日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発し、前週末比29.13ポイント(0.19%)高の1万4716.54で終えた。前週に信用保証の付与を求めて独政府と協議中だと公表した風力発電機大手の独シーメンス・エナジーが大幅に上昇した。不動産株、素材株も買われた。
他方、一部金融機関が目標株価を引き下げた医薬・化学大手の独メルクは下落した。11月9日に2023年7~9月期の決算発表を控え、業績悪化を警戒する声が出ている。
個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジーが12.66%高と急伸。大型プロジェクトを巡り政府保証を求めていないとの首脳発言が材料視された。セメント大手ハイデルベルクセメントは1.57%高、航空エンジン大手MTUエアロ・エンジンズも1.54%高だった。
半面、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは6.35%安、医療機器のザルトリウスは5.43%安、製薬大手メルクは3.60%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6825.07(+29.69)
フランスCAC40種指数は0.44%高だった。
ユーロ圏諸国の国債利回り低下を好感した買いが入った。
