ダウ小幅続落し38ドル安、金融引き締めへの警戒

 
17日のNYダウ工業株30種平均は小幅に続落し、前日比38ドル29セント(0.1%)安の2万9888ドル78セントと2020年12月以来の安値で終えた。
 
ダウ平均は前日の大幅安の反動で上昇して寄り付いた後、前日終値を挟んでプラス圏とマイナス圏を行き来する展開となった。高インフレの抑制に向けて米連邦準備制度理事会(FRB)が急速に利上げを進めることで景気後退を招くリスクが意識され、株価はこのところ不安定化している。ダウは前日、1年5カ月ぶりに3万ドルの大台を割り込んで引けた。
今週のダウ平均は4.8%安となり、週間の下落率では今年最大となった。
 
原油相場が大幅下落してインフレ懸念がやや和らぎ、買いが優勢になる場面もあった。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の急激な金融引き締めが景気悪化を招くとの懸念は強く、上値が重い展開だった。3連休を控えたリスク回避の売りも出て、引けにかけて下げに転じた。
 
17日の米原油先物相場が7%安と急落し、一時1カ月ぶりの安値を付けた。ガソリン高に歯止めがかかれば消費者心理が上向くと期待され、ダウ平均はプラス圏で推移する時間帯が多かった。今月に入って前日まで3000ドルあまり下げており、短期的な反発狙いの買いも入った。
 
消費関連や景気敏感株の一角が買われ、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスが5%高、航空機のボーイングの上げも目立った。このところ下げがきつかったハイテク株にも押し目買いが入り、顧客情報管理のセールスフォースとスマートフォンのアップルが反発した。
 
ただ、買い直しの勢いは限られ、ダウ平均は終始上値が重い展開だった。FRBのパウエル議長が17日朝の講演で「私とFRBの同僚はインフレ率を目標の2%に戻すことに強く集中している」と述べた。FRBが景気よりインフレ抑制を重視する姿勢が改めて意識された。
 
今週はFRBが0.75%の大幅利上げを実施したのに加え、スイスと英国の中央銀行も利上げを決めた。来月には欧州中央銀行(ECB)の利上げも見込まれ、主要中銀の金融引き締めが世界景気を冷やすとの懸念が強い。ダウ平均は引けにかけて上げ幅を縮め、下げに転じて終えた。
 
原油相場の急落を受けて石油のシェブロンが大幅安となり、原油安になると売られやすい化学のダウや建機のキャタピラーも下げた。銀行株も総じて売られた。
 
ナスダック総合株価指数は反発し、前日比152.251ポイント(1.4%)高の1万0798.350で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタプラットフォームズなど主力株が上げた。
 
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
29,888.78-38.29
S&P500種
3,674.84+8.07
ナスダック
10,798.350+152.251
FTウィルシャー5000
37,247.02+142.57
NY金(ドル/トロイオンス)
1,840.60-9.30
NY原油(ドル/バレル)
110.48-7.11
円・ドル
134.87 – 134.89+0.65
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

17日のシカゴ日経平均先物は反発した。9月物は前日比330円高の2万5930円で引け、17日の大取終値を150円上回った。NYダウ平均は前日の大幅安の反動で上昇して寄り付いた後、前日終値を挟んでプラス圏とマイナス圏を行き来する展開となった。景気後退懸念が根強い中、小幅続落した。3連休を控えた持ち高調整の動きが広がった。日銀が17日まで開いた金融政策決定会合で大規模な金融緩和の維持を決め、日経平均先物の買いを支えた。
 
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
25930 ( +150 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
25995 ( +215 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

17日のロンドン株式市場で、FTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ28.73ポイント(0.41%)安の7016.25で引けた。原油相場の下落でエネルギー株が売られた。
個別銘柄を見ると、英石油大手BPが6.2%安、同シェルが4.7%安と軟調。英・豪系資源大手リオ・ティントも4.9%安となった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

17日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ87.77ポイント(0.67%)高の1万3126.26で終えた。前日に約3カ月ぶりの安値で終えており、短期的な戻りを期待した買いが優勢だった。欧州債利回りの低下でハイテク株が買い直された。
DAXでは独総合電機大手シーメンスが1.3%高と堅調だった。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は0.06%安となった。欧州主要国の株価指数は前日の急落から一転、この日は方向感の乏しい値動きとなった。
CACでは仏石油大手トタルエナジーズが5.1%安とさえなかった。

 

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