7日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比630ドル15セント(2.1%)安の2万9296ドル79セントで終えた。
朝方発表された9月の雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比26万3000人増と、市場予想の25万人増を上回ったほか、失業率も3.5%と0.2ポイント改善。労働市場の需給逼迫(ひっぱく)を示す内容となったため、FRBによる積極的な利上げがなお必要との見方が広がり、ダウは朝方から売りが先行した。
雇用統計を受けて長期金利の指標となる10年物国債利回りは一時3.9%台に上昇。割高感が意識されやすいハイテク株に売りが膨らみ、ダウは終日軟調な展開が続いた。
市場では「依然として労働市場の過熱感は強い」(JPモルガン)との声が目立った。FRBが9月に続いて11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍の0.75%の利上げを決め、12月以降も大幅利上げを続けるとの見方が強まった。
6日夕に半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が発表した2022年7~9月期決算の速報値が市場予想を下回った。7日に韓国サムスン電子が発表した22年7~9月期の営業利益は32%減となり、予想も下回った。世界景気の減速を受けた半導体需要の弱含みが鮮明になり、米企業業績の下振れ懸念につながったのも相場の重荷だった。
ダウ平均は780ドルあまり下げる場面があった。週前半には景気減速で主要な中央銀行が利上げペースを緩めるとの観測から、戻りを試していたが、主要中銀の政策転換への期待が後退。株などリスク資産の持ち高を手じまう動きが広がった。
14%近く下げたAMDに連れ安し、ダウ平均では同業のインテルの下げが目立った。金利上昇で相対的な割高感が意識されやすいソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルなどハイテク株にも売りが広がった。スポーツ用品のナイキなど消費関連株も下げた。
ナスダック総合株価指数は大幅に3日続落し、前日比420.906ポイント(3.8%)安の1万0652.405で終えた。エヌビディアなど半導体株全般に売りが広がった。電気自動車のテスラも大幅安だった。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)によるツイッター買収に絡んで同氏によるテスラ株売却の懸念などが引き続き売りにつながった。
【シカゴ日本株先物概況】
7日のシカゴ日経平均先物は反落した。12月物は前日比310円安の2万6715円で引けた。同日の米株式相場が下落し、日経平均先物に売りが波及した。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
26715 ( -385 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
26720 ( -380 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
7日のロンドン株式市場でFTSE100種総合株価指数は小幅に3日続落した。前日に比べ6.18ポイント(0.09%)安の6991.09で引けた。インフレ懸念や主要中央銀行の金融引き締め継続の観測が強まり、英景気の悪化を懸念した売りが出た。一方、原油高でエネルギー株に買いが入り、下げ幅は限られた。
FTSEでは、指数構成銘柄の8割が下落。オンライン食品販売オカド・グループが5.8%安と最も大きく下げた。小売り大手JDスポーツファッションは4.2%安、ホームセンター大手キングフィッシャーは4.1%安、住宅大手テイラー・ウィンペイは3.8%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
7日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落した。前日に比べ197.78ポイント(1.59%)安の1万2273.00で終えた。7日発表のドイツの経済指標がインフレ継続や経済活動の鈍化を示す内容と受け止められ、ドイツ景気の後退懸念が強まった。化学や資本財、金融など幅広いセクターに売りが出た。
DAXでは、スポーツ用品大手のアディダスとプーマがそれぞれ5.2%安、5.1%安と急落。エネルギー大手シーメンス・エナジーは4.9%安、製薬会社サルトリアスも4.8%安と売り込まれた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は1.17%安だった。
この日発表された9月の米雇用統計が市場予想を上回る強い内容となったことから、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを緩めないとの見方が広がり、景気敏感株を中心に売りが膨らんだ。
