9日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前日比653ドル61セント(2.0%)高の3万3286ドル25セントで終えた。米原油先物相場の大幅下落でインフレや景気減速への懸念が和らぎ、消費関連など幅広い銘柄が買い直された。ダウ平均は前日までの4営業日で1200ドル強下げたため、短期的な戻りを見込む買いも誘った。
ロシアのウクライナ侵攻に伴って急伸していた原油や小麦などの相場上昇が一服し、インフレ加速への懸念が後退した。これらの商品相場は2月下旬以降に急伸し、米国の物価高を一段と加速させるとの見方が広がっていた。
米原油先物相場はこの日、有力産油国が増産に動くとの観測から売りが殺到し、一時16%超急落。小麦先物も約7%急落し、金やパラジウムなども反落した。
米原油先物相場は9日に一時、1バレル103ドル台と前日終値から16%下落した。石油輸出国機構(OPEC)加盟国が増産に動くとの思惑が浮上し、欧米の対ロシア経済制裁による原油需給の逼迫が和らぐと期待された。金や銅、小麦など原油以外の商品先物も連れ安し、インフレ懸念がひとまず和らいだ。
業種別ではエネルギーと公益事業以外は全面高の展開で、押し目買いや売り方の買い戻しが相場を押し上げた。前日までインフレが消費を抑えるとの見方から下げていた消費関連株の上げが目立ち、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスとスポーツ用品のナイキが5%上昇した。米長期金利が一時1.95%と前日比で0.10%上昇し、利ざや拡大の観測から金融のJPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスは4%上げた。
ハイテク株も買われ、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが6%上昇した。ソフトウエアのマイクロソフトも5%高で終えた。
ナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反発し、前日比459.995ポイント(3.6%)高の1万3255.546で終えた。グーグルの親会社アルファベットや半導体のエヌビディアなど主力株が総じて上昇した。
9日は米政権がデジタル通貨分野で初の国家戦略をまとめた。暗号資産(仮想通貨)取引の普及につながるとの期待から、仮想通貨交換業者のコインベースや決済サービスのブロック(旧スクエア)など関連株の上げが目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
33,286.25+653.61
S&P500種
4,277.88+107.18
ナスダック
13,255.546+459.995
FTウィルシャー5000
43,762.04+1,125.86
NY金(ドル/トロイオンス)
2,043.30+47.40
NY原油(ドル/バレル)
109.53-14.17
円・ドル
115.84 – 115.87-0.04
【シカゴ日本株先物概況】
9日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比590円高の2万5395円で引け、9日の大取終値を645円上回った。9日の米市場では、ロシア、ウクライナ外相会談を10日に控え停戦期待に上昇した、原油や穀物など商品相場の上昇が一服し、物価上昇による景気減速への警戒感が薄れた。日経平均先物は米株とともに買い進まれた。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
25395 ( +645 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
25400 ( +650 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7190.72(+226.61)
9日のFTSE100種総合株価指数は大幅に続伸した。前日に比べ226.61ポイント(3.25%)高の7190.72で引けた。このところの大幅な下落で、自律反発を見込んだ買いが入った。原油価格の上昇に一服感が出ており、コスト高への懸念が後退したのも投資家心理の改善につながった。
FTSE100では、産金・産銀会社ポリメタル・インターナショナル(69.2%高)や鉄鋼大手エブラズ(18.7%高)などロシア関連株が急騰。原油など商品価格が下落したのを嫌気し、石油大手BP(2.2%安)など資源関連株は売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13847.93(+1016.42)
9日のドイツ株価指数(DAX)は5営業日ぶりに大幅反発し、前日比1016.42ポイント(7.92%)高の1万3847.93で終えた。
前日までの4営業日で大幅に下落していたとあって、自律反発を狙った買いが入った。原油価格の高騰が一服し、ユーロ圏景気への悪影響に対する懸念が和らいだのも投資家心理を押し上げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6387.83(+424.87)
フランスCAC40種指数は7.13%高の6387.83だった。
ウクライナ情勢の改善期待から買いが優勢となり、軒並み大幅に上昇した。
