NYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比96ドル36セント安の3万7905ドル45セントで終えた。
ダウは前日に最高値を更新し、初めて3万8000ドル台に乗せていた。高値への警戒感から利益確定の売りが優勢となった。
米工業・事務製品大手スリーエム(3M)がこの日公表した2024年通期の利益見通しは、中国経済の減速などを念頭に、市場予想を下回る慎重な内容だった。23年通期の純損益が赤字に転落したことも相まって同株の終値は11%安と急落し、相場の足を引っ張った。
一方、物価高を抑えつつ景気後退を回避する軟着陸期待に加え、予想を上回る決算内容だった家庭用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などに買いが入り、引けにかけて下げ幅が縮まった。
ダウ平均は前日に最高値を更新し、初めて3万8000ドル台に乗せた。週内は23年10〜12月期の米実質国内総生産(GDP)など注目される経済指標に加え、来週にはソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルなど主力ハイテク企業の決算の発表が相次ぐ。「連日で高値を更新した後で利益を確定する売りが出やすい」との声が聞かれた。ダウ平均の下げ幅は一時200ドル近くに広がった。
売り一巡後は下げ渋った。23日発表の四半期決算で1株利益が市場予想を上回った日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は4%強上昇した。同様に決算を発表した通信のベライゾン・コミュニケーションズも主力の携帯事業の契約者数の伸びが好感され、7%弱高で終えた。
ナスダック総合株価指数は4日続伸した。前日比65.657ポイント(0.42%)高の1万5425.943と、連日で22年1月以来2年ぶりの高値で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズやネット通販のアマゾン・ドット・コムなど主力株が買われた。23日の通常取引終了後に決算発表を控えていた動画配信のネットフリックスも上昇した。
S&P500種株価指数は4日続伸した。前日比14.17ポイント(0.29%)高の4864.60と、連日で最高値を更新した。
【債券】
ニューヨーク債券市場で長期債相場は反落した。長期金利の指標となる10年物国債利回りは前日比0.02%高い(価格は安い)4.12%で終えた。欧州国債市場でドイツ連邦債10年物の利回りが一時約1カ月半ぶりの高水準をつけた流れを受けて、持ち高調整の売りが優勢となった。この日行われた2年債入札への反応は限定的だった。
【為替】
ニューヨーク外国為替市場で円相場は1ドル=148円30銭〜40銭で推移している。
東京市場では日銀の植田和男総裁が金融政策決定会合後の記者会見で、2%の物価目標の実現に向けた確度が「少しずつ高まっている」などと述べたことから金融政策の正常化に向けた思惑から円が買われ、一時146円99銭近辺まで円高・ドル安が進行したが、NY市場では米国の長期金利上昇を受けて、日米金利差の拡大からドル買いが優勢となり、円安・ドル高方向への値動きとなった。
【シカゴ日本株先物概況】
23日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比175円安の3万6475円で終えた。
日銀が23日まで開いた金融政策決定会合の結果を受けて早期の政策正常化が意識されるなか、このところ急ピッチな上昇が続いていた日経平均先物には利益確定を目的とした売りが出た。
23日のニューヨーク株式相場は、予想を下回る業績見通しを示した米工業・事務製品大手スリーエム(3M)が大きく売られ、4営業日ぶりに反落した。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7485.73(-1.98)
23日のFTSE100種総合株価指数は横ばい圏となり、前日比1.98ポイント(0.02%)安の7485.73で終えた。ロンドン金属取引所(LME)で23日、アルミニウムや銅などの先物相場が上昇し、英豪リオ・ティントなど資源株への買いを誘った。ユニリーバなど日用品株にも買いが入った。一方で、同業を買収すると22日に発表した食品サービスのコンパス・グループの株価下落が目立った。製薬や資本財株の一角に売りが出たのも、FTSE100種指数の重荷だった。
アルミニウムの3カ月先物は供給懸念から一時、前日比3%ほど上昇した。銅3カ月先物の上昇は、中国当局が中国本土の株式相場の下支え策を検討していると伝わり、中国景気への警戒感が和らいだことが背景にある。ニッケル3カ月先物も上昇した。
FTSEの構成銘柄では、自動車保険のアドミラル・グループが2.89%安、給食サービス大手コンパス・グループが2.59%安、学生向け住宅の開発・運営を手掛けるユナイト・グループが2.48%安と下げを主導した。
一方、金融大手スタンダード・チャータードは4.34%高、産金大手エンデバー・マイニングは2.99%高、保険大手プルデンシャルは2.46%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16627.09(-56.27)
23日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比56.27ポイント(0.33%)安の1万6627.09で終えた。欧州中央銀行(ECB)理事会の結果発表を25日に控え、積極的な買いが入りにくかった。半面、中国当局が中国本土の株式相場の下支え策を検討していると伝わったのは、投資家心理の支えとなった。
個別では、セメント大手ハイデルベルクセメントが2.87%安、防衛大手ラインメタルが2.61%安、化学品商社ブレンタークが2.10%安だった。半面、自動車大手フォルクスワーゲンは5.41%高、通販大手ザランドは5.39%高、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズは4.20%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7388.04(-25.21)
フランスCAC40種指数は0.34%安だった。
前日の株高を受けて利食い売りが出たほか、欧州中央銀行(ECB)定例理事会を週内に控えた警戒感も相場の重しとなった。
