市場では「トランプ氏は関税強化による個人消費の低迷や物価上昇といった痛みをいとわない姿勢をみせた」との指摘があった。企業収益への逆風が避けられないとの見方が株価の重荷となった。
「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)が大幅に上昇し、24年8月以来の高水準になった。
日銀の追加利上げ観測が強まる中、日本の長期金利が上昇し、外国為替市場では円高・ドル安が進んでいる。円を借りて、ドル建て資産に投資する「円キャリー取引」の巻き戻しが加速するとの観測から、ハイテク株を中心に売りが膨らんだとの見方も出ていた。
また、カナダで9日、与党・自由党の党首選が行われ、新党首にマーク・カーニー元カナダ銀行(中央銀行)総裁が選出された。トルドー首相の後を引き継ぎ、トランプ政権に強く対抗していく方針を打ち出しており、米加両国の緊張が続くとの見方が相場の重荷となった。
ダウ平均の構成銘柄では、エヌビディアやアップルなどの下げが目立った。ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースといった金融が下げたほか、アメリカン・エキスプレスやウォルマートなどの消費関連も売られた。半面、ベライゾン・コミュニケーションズやスリーエムが上昇した。
ナスダック総合株価指数は大幅反落した。前週末比727.900ポイント(4.00%)安の1万7468.321と、24年9月以来およそ6カ月ぶりの安値で終えた。1日の下落率としては22年9月13日以来の大きさだった。アナリストが目標株価を引き下げたテスラが大幅安となった。ビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズや半導体のブロードコムなども下げた。
S&P500種株価指数は反落した。前週末比2.69%安の5614.56と約半年ぶりの安値で終えた。下値支持線とみられていた200日移動平均(前週末時点で5733程度)を下回った。
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前週末比795円安の3万6475円で終えた。この日はトランプ米政権の関税政策が景気に与える影響への警戒感から売りが膨らみ、大幅反落した。
シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
36475 ( -605 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
36480 ( -600 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
10日の英FTSE100種総合株価指数は5日続落し、前週末比79.66ポイント(0.91%)安の8600.22と2月上旬以来、約1カ月ぶりの安値で終えた。米関税政策の成り行きや米経済の先行きに不安が根強い。9日発表された中国の物価統計が低調だったのをきっかけに中国の景気懸念が改めて意識されたのも、投資家心理の重荷だった。
FTSEの構成銘柄では、賭け屋大手エンテインが8.62%安と下落率トップ。航空機エンジン大手ロールス・ロイスが8.56%安、資産運用大手インターメディエイト・キャピタル・グループが5.83%安と続いた。一方、ホームセンター大手キングフィッシャーが3.67%高、ホテル大手ウィットブレッドが3.34%高で取引を終えた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
フランスの株価指数CAC40は続落し、前週末比0.90%安で終えた。
