7日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比574ドル98セント(1.7%)安の3万2856ドル46セントで終えた。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が7日の議会証言で、利上げペース加速や利上げ長期化の可能性を示した。金融引き締めへの警戒感が改めて強まり、幅広い銘柄に売りが広がった。
FRBのパウエル議長はこの日の議会証言で、「物価安定には程遠い」と述べ、インフレ高止まりへの警戒感を表明。「利上げペースを加速する用意がある」と話し、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を0.5%に再び広げる可能性を示唆した。また、政策金利の到達点が「従来の想定より高くなる」とし、利上げが長期化する可能性にも言及した。
市場では「予想していたよりも引き締めに積極的なタカ派だった」との声が目立ち、21~22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅が0.5%に拡大されるとの見方が強まった。
議長発言を受け、債券市場では金融政策の影響を受けやすい2年債利回りが一時5.02%と2007年6月以来の水準に上昇した。一方、利上げが米景気を冷やすとの見方から、2年債が10年債利回りを上回る「逆イールド」は一段と深まった。利ざや縮小が意識され、金融のJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスの下げが目立った。建機のキャタピラーなど景気敏感株やホームセンターのホーム・デポなど消費関連株の一角も売られた。
午後にかけて、ダウ平均は下げ幅を広げた。2年債利回りが節目の5%を上回ったのに加え、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数が短期的なトレンドを映す50日移動平均を割り込み、先安観が広がったとの指摘があった。S&P500種は前日比62.05ポイント安い3986.37で終えた。
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比145.404ポイント(1.2%)安の1万1530.333で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
7日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比5円高の2万8205円で引けた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言を受け、利上げ加速への警戒感が強まり、反落したが、外国為替市場での円安・ドル高が日経平均先物の買いを誘った。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
28205 ( -115 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
28210 ( -110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7919.48(-10.31)
7日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ10.31ポイント(0.13%)安の7919.48で取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が7日の議会証言で、利上げ長期化と利上げペースの加速の可能性を示唆した。景気懸念から資源株が売られた。
構成銘柄の6割強が下落。個別では、産金大手フレスニロが6.8%安と下げ率が最も大きく、オンライン食品販売オカド・グループが4.7%安、資源大手グレンコアが4.6%安で続いた。一方、投資会社メルローズ・インダストリーズは3.9%高、建機レンタルのアシュテッド・グループは2.2%高、保険大手ビーズリーは2.0%高と逆行高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15559.53(-94.05)
7日のドイツ株価指数(DAX)は4営業日ぶりに反落した。前日に比べ94.05ポイント(0.60%)安の1万5559.53で終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が7日の議会証言で、利上げ長期化と利上げペースを加速する可能性を示唆したことを受け、投資家心理が悪化した。金融株や素材株といった景気に敏感な銘柄のほかハイテク株など幅広い銘柄に売りが出た。
個別では、不動産大手ボノビアが5.6%安、医療サービス大手フレゼニウス・メディカルケアが3.7%安、通販大手ザランドが3.4%安。半面、素材化学大手コベストロは1.6%高、商用車大手ダイムラー・トラックと高級車メーカーのポルシェはともに0.9%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7339.27(-33.94)
フランスCAC40種指数は0.46%安だった。
今月下旬の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅が0.5%に拡大するとの観測が広がり、株価の重しとなった。
